オードリー・タン氏実践「睡眠記憶法」の超合理性 睡眠の効能を最大限活用する徹底した工夫
➀夜10時を過ぎたらスマホを切る。サイレントモードやバイブレーションに切り替えるのではなく、電源からオフにする。就寝前は意思が弱くなるため、無意識にスマホをいじり続けてしまい、寝るのが遅くなりがちだ。
➁眠る前にすべてのメールボックスとタスクリストを空にし、発信すべき情報はすべてネットにアップロードしておく。
➂翌日に使用する大量の資料や書籍を30分かけて読む。小説ではなく、論文のように事実が整然と記された、知識を得るための文章が中心だ。1ページにつき2〜3秒のペースで読んでいくので、30分で600ページほど読み終える。読むべき資料が多い場合は1時間長く眠る。眠っている間に情報を消化し、翌朝目覚めたときには前の晩に読んだ資料をすべて記憶している。
➃20分間の座禅を組んで、今日1日のストレスを洗い流す。よい感情も悪い感情も一緒に解き放つことで、前日の感情を翌朝まで引きずらなくなる。体内の感情をゼロリセットすれば、すっきりした気分で朝を迎えられる。これは、4歳か5歳のころに両親から教わって以来の習慣だ。
夜に取り込んだ情報を眠っている間に消化する
このうちの3つ目がオードリーの睡眠記憶法だ。ストレスの多い現代人には睡眠時間をコントロールすることさえ難しいのに、眠る前に読んだ資料を眠っている間に消化するなど、実に不思議な話だ。どうやったらそんなことができるのだろうか?
睡眠が記憶力の強化に役立つことは、脳神経科学の医師も認めている。日本の心理カウンセラーでベストセラー作家の石井貴士氏は、『本当に頭がよくなる1分間記憶法』(SBクリエイティブ)のなかで、「短期記憶から長期記憶に移していく過程で必要なもの。それは、実は『睡眠』なのです」と指摘している。
徹夜して勉強してもすぐに忘れてしまうのは、睡眠不足が関係している。睡眠時には脳の神経細胞をつなぐ「シナプス」の結合が起こりやすくなり、記憶の整理が行われる。睡眠の過程のなかで短期記憶が長期記憶へと変換されるのだ。
だから眠る前に資料を読み、ひと晩ぐっすり眠って目覚めたら、セロトニンの分泌が盛んな朝のうちに昨夜読んだものを見直すという方法は、効率的で効果の高い方法だ。
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