台湾に待ち構える4つの地雷、着火点は労働力人口の減少

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経済低迷、税収不足、財政悪化、退職金基金の破綻。台湾の政治家が、今後も各種の方法で有権者のご機嫌を取ろうとするなら、台湾はこれら四つの地雷を順番に踏んでいくしかない。これは、ギリシャが世界に与えた教訓といえるが、台湾も同じ道を歩みつつある。

この暗い道の出発点は、人口構造にある。行政院経済建設委員会が9月に公表した人口推計によると、15~64歳の労働力人口が2016年時点で減少に転じる。31年になると、4人に1人が65歳以上となる。労働力人口は1500万人を割り込み、総人口に占める比率は現在より10%ポイント低下し64%に落ち込む。

1951年以来の統計を見ると、台湾の経済成長と労働力人口の増加には相関関係がある。台湾経済研究院のゴンミンシン副院長は、「労働力人口の減少を克服するには労働力の付加価値を高めなければならないが、台湾の産業はつねにスピードと効率を追求してきた」と指摘する。

産業構造も、輸出型から内需型への転換がうまく進まなければ、消費主体となる国民の人口減少に伴い、内需サービス業も活力を失う。しかも増税、インフレによって1人当たりの消費支出も低下する。

内需と輸出という経済の両輪が人口減少によって衰退し、経済成長率が低下すれば、悪循環がやってくるのだ。経済の不振は税収を減らし、税収減は財政悪化による国家債務の増加を招き、財政破綻の危機が高まる。「実のところ、台湾はギリシャが歩んできた道に向かっている。われわれはギリシャの悲劇を繰り返そうとしているのだ」。こう語るのは政治大学金融学科の殷乃平教授だ。

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