中国の「和式トイレ」日本と"座る位置が違う"ナゼ お尻が開いたズボンを穿く子、謎のトイレ事情
トイレと排泄をめぐる疑問はまだまだある。和式トイレの配置も、謎だった。
日本の和式トイレは個室のドアを横に見る方向に便器が配置されているのが普通だ。一方、中国の和式トイレは、しゃがんで用を足しているときに個室のドアが目の前に来る配置が多い。
個室に入って回れ右して便器をまたぐので、効率が悪い。なぜかトイレットペーパーホルダーと洗浄ボタンは奥の壁にあったりするので、しゃがんだまま体をひねって紙を引っ張らなければいけなかった。
謎の和式トイレの配置に対する仮説
「中国の和式トイレってなんで利用者の道線を考えていないんですかね」と、私より中国在住歴が長い日本人男性に言うと、彼は「それは……敵に後ろをとらせないためじゃないかな」と答えた。
トイレに長らくドアや仕切りがなかったのは、最も無防備になる瞬間に敵の来襲に備えるためで、ドアのあるトイレでも何らかの理由でドアが開いたときにすぐ対応できるように便器が配置されているのではないか。人に見られて平然としているのも、警戒心が羞恥心を上回るからではないかというのが中国生活十数年の彼が導き出した「仮説」だった。
たしかに、中国人にとってトイレが無防備になってしまう、できるだけ早く立ち去りたい場所であるなら、清潔感がないのも、鍵をかけないのもつじつまがあう。
日本人はどちらかと言うとトイレを「くつろぎ」「おもてなしの場所」と考えており、リビングや寝室と同じように飾るし、公共トイレでもスマホを見ながらだらだらと過ごしたりする。
もはやトイレというより多目的スペースだ。誰もが絶対に使う場所だからこそ、国民の歴史や気質が反映されているのかもしれない。日本のトイレは、平和と安全の象徴でもあるのだ。
ガラケー全盛期、グーグルマップなど誰も知らない時代。中国に住む日本人女子が集まると、「きれいなトイレがわかる地図が欲しいよね」という話になった。
中国に住んでいてつらいのは、公共トイレのカオスぶり。オブラートに包まず言えば、とにかく汚い。ドアを開けるときに、相当な覚悟をしなければならない。私は中国基準でいえば比較的キレイな留学生専用校舎のトイレさえ、ほとんど使わなかった。
観光地には有料トイレがあることも多いが、手を洗うときに中年の女性が私に代わって蛇口をひねったり手を拭くティッシュを手渡したりしてくれたり、とにかく期待とは違うところに投資がされていて、「そんなところに人件費かけなくていいから、トイレをもっときれいにして、ついでにトイレットペーパーをセットしてくれ!」と叫びそうになったこともある。
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