中国の「和式トイレ」日本と"座る位置が違う"ナゼ お尻が開いたズボンを穿く子、謎のトイレ事情

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

このズボンを穿いていると、子どもが尿意や便意を催してもぱっと抱き上げて、その辺におしっこさせられる。親からすればたしかに手間がかからないし、ある意味エコだ。だがその瞬間を見た日本人は一様にショックを受け、「中国の洗礼」的存在になっていた。

息子のソウはこのズボンを「尻割れズボン」と名づけ、道端で発見すると大興奮し、気づかれないように近づいて身をかがめて下からのぞきこんだ。

私が中国で暮らした6、7年の間に、中国人のライフスタイルは急速に変化し、おしゃれなカフェも増えたが、中高年者の行動はあまり変わらなかった。

あるときはカフェのテーブルの上で1、2歳の子どもをおしっこさせるおばあちゃんを目撃した。おばあちゃんは子どもがおしっこを出し切ると、何事もなかったように去って行った。

片付けに来た店員がテーブルに撒かれた水分を見て「何これ」と言っているので、「さっきの人たちがおしっこしていった」と教えてあげると、その店員は「ごめんなさい。本当にごめんなさい」と私に謝り、カウンターの奥から洗剤やモップを持ってきた。

ドアや仕切りがない「ニイハオトイレ」

ショッピングセンターのゴミ箱を便器に見立て、子どもを抱えておしっこをさせる親もいた。彼らは「子どもに我慢をさせてはいけない。出したいときはすぐ出す!」と信念を持っているかのようだった(おむつをしていないので、相対的に被害の少ないところを選んでいたのかもしれないが)。

浦上早苗 中国 トイレ
中国のスケスケなトイレ(写真:筆者撮影)

子どもだけではない。若い女性も学校やデパートのトイレに入るときに鍵をかけないことがよくあった。うっかり開けると、目が合ったその人が便器に座ったまま「いるよ~」と答える。こっちは「見ればわかるわ」と気まずい気持ちになる。

そもそも中国のトイレにドアや仕切りが設置されたのは、比較的最近のことだ。田舎にいくと今でも、世界に名をとどろかせる便器が並んだだけの公共トイレ、通称「ニイハオトイレ」は普通にある。首都の北京にすら残っていた。

浦上早苗 中国 トイレ
いわゆるニイハオトイレ。ドアがない(写真:ZUMA Press/アフロ)

用を足しながらおしゃべりする風習はドアができてトイレが個室になってからも引き継がれ、デパートのトイレではそれぞれ個室に入った女性たちが、大声で喋っていた。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事