気になる「都会のターミナル駅」ベスト10 昭和の香りのする、あの駅を味わいに行こう

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上野駅と似たデザインの両国駅。後ろに見えるのは、両国国技館と東京スカイツリー(写真:マリンバ / PIXTA)

第8位:両国駅

浅草と同じく、東京下町のターミナル両国駅は、すでに一般からは忘れ去られた感がある。上野駅に似た駅舎は、かつては千葉方面への玄関駅として繁栄したのだが、総武快速線が東京駅地下に乗入れる際に、通過駅となってしまったことから寂れてしまって久しい。今や、通勤電車用ホームを別にすれば、列車ホーム1面が残るのみである。

それでも、ホームは手入れが行き届き、レトロな駅名標を設置するなどして、時折発着する臨時列車やイベント列車発着に対応している。知らない間に消えてしまうことのないよう応援したい名ターミナル駅だ。

今後の動向が気になる函館駅

新幹線開業によって函館駅は、ますます寂しい駅になる可能性が高い(撮影:尾形文繁)

第9位:函館駅

北海道の玄関駅だった函館駅。今もターミナル駅であることに変わりはないけれど、列車利用が激減し、航空機利用が大半で直接札幌に向かうルートが主流となった今、かなりローカルな駅になった感じがする。2016年春の北海道新幹線開業では、函館駅から20km近く北に位置する新函館北斗駅が新幹線駅となるため、乗り換えて札幌方面へ向かう乗客は函館駅には立ち寄らない。今後の動向が気になる駅だ。

重要文化財に指定されている門司港駅(写真:ちょこわん / PIXTA)

第10位:門司港駅

名駅舎の誉れ高い九州の門司港駅は、目下保存改修工事の真っ只中である。完成は2018年とのことで、今しばらくは、風格ある駅舎の姿を見ることができない。重要文化財に指定されている建物だけに、復元完成を待ちたい。現状では、忘れ去られたくないという意味を込めて第10位だが、再開の暁にはベスト3に入れたい。

ターミナル駅といっても、歴史的建造物から現代的なものまで、様々である。また、駅は出会いと別れの場でもあり、各自の駅との関わりや想い出によっても印象が異なってくる。ターミナル駅に限らず、それぞれの人生で想い出に残った駅をリストアップしてみると、忘れていた出来事が甦ってくるかもしれない。駅は人を感傷的にさせる場所でもあるようだ。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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