リクルート「エリクラ」利用者に"不法投棄誘発"か 会社側に見解を問うと「サービスのあり方改善」へ

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また、過去に厚生省(当時)は、清掃業者がその場にあったごみを集めた場合の排出者は「(清掃業者ではなく)事業場の設置者または管理者である」という旨の通知を出している。この場合はシンジさんが指摘する通り、許可のない清掃業者がごみを持ち運ぶと、違法とされるおそれがある。この通知は自治体への事務権限の委譲に伴い廃止されたが「国としての見解はおおむね変わっていない」(環境省廃棄物適正処理推進課)。

私は前回の取材で話を聞かせてくれた男性に、ごみの処理方法について聞いてみた。男性が住む自治体では、たとえ少量でも産業廃棄物はもちろん事業系一般廃棄物も家庭ごみとして捨てることは禁止されていたが、男性は「知らなかったです。自宅のごみステーションに捨ててました」と驚いていた。

かくいうシンジさんも、違法と知りながら家庭ごみとして出している。十分とはいいがたい報酬から処理費用まで捻出する余裕がないからだ。現在、エリクラの利用登録者は約10万人。シンジさんは「エリクラは『自治体のルールに従って』と言いますが、それでは利用者に面倒と責任を押しつけているだけ。ごみに関する知識のない人も多いはずです。エリクラの仕組みが不法投棄を招いているのではないか」と指摘する。

枯れ葉などが入ったごみ袋。持ち帰るようにといわれたら家庭ごみとして出すしかないという。エリクラの仕組みが不法投棄を誘発していると批判されても仕方がないのではないか(写真:シンジさん提供)

こうした批判を運営者であるリクルートはどう受け止めるのか。取材に対し、同社のエリクラ事業担当者は「最終的には各自治体が判断することですが、結果として指摘されたような事態が起きている可能性は否定できず、申し訳なく思っています」と答えた。

そのうえで、今後のサービスのあり方について「各自治体にあらためてごみの種類やその処理方法、排出者などについて確認をします。そのうえで、それらの情報を依頼主に周知し、必要があれば掲載内容の修正をお願いするといった改善を進めます。ユーザー(利用者)に対しても自治体によってはごみ処理に別途費用がかかると伝えることも検討したい」とし、これまで「自治体のルールに従って」と呼びかけるにとどまっていた対応を改める方針を示した。

「エリクラは清掃の仕事を軽んじている」

一方で取材中、シンジさんはごみ問題だけを声高に糾弾したわけではなかった。シンジさんが繰り返し訴えたのは「エリクラは清掃の仕事を軽んじている」ということだった。

シンジさんは地元の高校を卒業後、食品関連会社に就職。しかし、そこは毎月60時間以上の残業をさせながら、給料は手取りで約16万円という悪質企業だった。正社員だったが、「1年で72キロあった体重が52キロに減りました」と語る。

その後、別の会社への転職を経て派遣労働者に。日雇い派遣大手のグッドウィルに登録したが、後に社会問題となる違法な二重派遣や、「データ装備費」天引きの被害に遭った。ピンハネ構造に嫌気がさして派遣労働に見切りをつけた後は、複数の清掃会社で経験を積み、5年ほど前に独立した。

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