「地震と豪雨」能登半島ダブルパンチの深刻さ 現地調査した専門家が検証「今後警戒すべき点」
斜面崩壊した場所は保水力が失われ、周辺は崩落しやすい状態になる。崩落した土砂と木々は、大雨による水をせき止めて土砂ダムのようになり、そこに土石流が発生すると、土砂と水が一挙に流出する「土砂・洪水氾濫」が起きやすい状態となることが想定される。
輪島市で起きていたことは?
筆者は、豪雨発生後の4日後の9月25日~26日に輪島市街地に入り、仮設住宅も含め、住宅に被害が出た地域を調査した。
まず全体として輪島市街地では、洪水ハザードマップは市内を南から北に流れる河原田川を対象として作成。低地に広がる市役所や商店街、住宅街を含む市街の広い範囲が0.5~3.0mまたはそれ以上の浸水が想定される範囲に含まれている。
輪島市はもともと、能登地域の中では川が作った低地が広い反面、多くの市街区域で洪水が想定される、というジレンマを持っていた。昭和30年代には3回の洪水があり大きな被害が発生。市内で今回も被害が発生した河井町に「輪島市水害水位表示塔」が建てられている。
また、低地をとりまくように、土砂災害ハザードマップにおける土砂災害警戒区域が広がっている。低地の周囲には山地が広がっており、急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)、土石流、地すべりの警戒区域が広がる。地域のほとんどが、川沿いの低地か、傾斜地で土砂災害リスクのある山地の、いずれかであるという特性だ。
現地で調査を実施して、浸水・冠水があった地点6カ所を上図に示した。洪水ハザードマップ、土砂災害ハザードマップも重ね合わせている。
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