「隣はヒズボラ」パレスチナ難民キャンプのヤバさ 9月にレバノン・ベイルート襲った空爆のその後

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ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師を死に至らしめた27日の空爆に関して聞くと、「住んでいる建物が崩壊するかと思うほど、大きな揺れだった」と述べた。筆者も何度もお邪魔したことがある彼女の自宅は、爆心地から2kmと離れていない(注:その数日後には、自宅からわずか数100m先、キャンプの境界線上にも度重なる空爆が行われた)。

爆発によって小規模火災が生じ、粉塵が立ち込めた。夜が明けてもキャンプは一面煙で覆われており、爆発物のにおいが立ち込めていたという。

使用された兵器の金属片が広範囲に飛散したため、不発弾のみならず、鋭利な金属片によるケガや、タイヤのパンクなどの2次災害も生じているという。

「確実に死傷者を増やす」意図感じる

爆心地周辺の住民らによると、イスラエルは榴散弾(りゅうさんだん)を使用している可能性が高いという。

榴散弾とは、砲弾内部に詰め込まれた金属片を炸裂させることで、広範囲の人や生物を殺傷する兵器である。人口密集地帯で使用されていることから、確実に死傷者を増やすという攻撃者の意図が感じられる。

イスラエル軍はガザで同様の兵器を使用したと報じられており、被弾した多くの子どもたちの体内に炸裂した金属片がとどまり、長期的な被害をもたらしていると報告されている。

幸い、今回の空爆ではブルジ・バラジネ難民キャンプ内には重大な物理的被害は生じなかった。しかし、27日中に同キャンプ一帯には避難勧告が発出され、クルドさんによると、現時点で90%を超えるキャンプの住民は避難を決意し、国内外に退避しているという。

ブルジ・バラジネ難民キャンプ付近に着弾した兵器の残骸(写真:クルドさん提供)
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