「隣はヒズボラ」パレスチナ難民キャンプのヤバさ 9月にレバノン・ベイルート襲った空爆のその後

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ベイルートから南に40kmほど離れた地域にも空爆の被害が及んだ。瓦礫の山と化した住宅地の一角(写真:イズラさん提供)

避難といっても、現時点でレバノン政府や国連機関から支援はない。彼女は避難の状況について「各人が国内の親戚や友人宅に身を寄せている状況」と話した。避難生活が長期化すれば、もともと厳しい状況にあるパレスチナ難民世帯の家計は、一層圧迫されることになる。

何より避難したからといって、安全が保障されたわけではない。

現在、イスラエルによって攻撃対象とされていない主要都市は、北部にある同国第2の都市トリポリのみ。パレスチナ難民の大多数は攻撃に巻き込まれるリスクを回避するため、北部への避難行動をとっているものの、今後も各地での空爆が継続し、地上侵攻が本格化した場合、食料や生活非必需品の調達など、生活のさまざまな面で影響は必至である。

政権の弾圧・処罰覚悟で本国へ

ベイルート周辺に居住・駐留していたシリア国籍者のなかには、本国に戻る動きもあるという。シリア難民にとって本国への帰還は、政権からの弾圧や処罰を受けるという危険もはらむ。この動向はレバノンにおける事態の深刻さを物語っているといえるだろう。

(キャンプ内の)自宅にいつ戻る予定か尋ねたところ、クルドさんは「それはわからない。起こるべき運命にあることが起こるだろう」と淡々と述べた。これは、彼女が「あらゆる出来事を、ありのままに受け止める覚悟をしている」という意味であり、「もし神が望んだならば」というアラブの考えにも基づいている。

そのうえで、筆者が開発分野の仕事に従事していることから、「あなたは(分断ではなく)愛と平和を普及することに努めなさい」と訴えた。

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