気づけば「自分に厳しい道を選ぶ人」が陥る思考 マラソンに挑戦しながら、聞こえてきた心の声

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ポジティブ心理学では、個人や組織やコミュニティに、生き生きと暮らし、繁栄するために必要なツールを提供することを目指す。

その目的は、主流の心理学に取って代わったり、それと競ったりすることではなく、心理学の研究の重点を苦痛とその緩和以外にも広げることにある。

ポジティブ心理学が重点を置くのは、どうすれば幸福感を高められるか、そして逆境に耐え、前より強くなって立ち直る手段はどうすれば見つかるかという問いだ。

そのため、まだ萌芽(ほうが)期にあるこの学問分野では、達成、組織の発展、創造性、心理的健康について集中的に研究しており、セラピー、ジャーナリズム、教育から、スポーツ、公衆衛生、法と統治まで、あらゆる分野で応用されている。

50日間をかけたマラソンに挑戦

50日間をかけたニュージーランド縦断マラソンで一つのターニングポイントが訪れたのは、12日目のことだった。毎日約50キロ走り、それまでの合計走行距離は600キロに近づいていた。

道路の硬い地面に繰り返し打ちつけられたせいで右の足首が腫れ上がり、暑さで60度近くまで上がった路面の熱がシューズのゴム底からマメだらけの足に伝わって、腫れがますますひどくなった。

かなりの痛みで、状況は厳しくなるばかりだった。同行してくれていたミーナ・ホルダーはイギリス人の学校教師で、彼女自身もニュージーランドを縦断する有名な長距離トレイル「テ・アラロア」を走ったことのあるウルトラランナーだ。

私の信頼する仲間として、コーチとして、そして無資格ながら心理カウンセラーとしての役目を担いながら、日々の雑務に対応してくれ、それまでは私の進み具合をとても楽観的に見てくれていた。

ところがこの12日目、彼女の表情に心配の色が見えた。ミーナは私の足の親指にテーピングをし、食事を用意し、私に同行してニュージーランドの西側をゆっくりと北上する車列を先導するバンを運転してくれていた。

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