ボーク:そうですね。スマホは今や生きていくのに必須なデバイスです。ただ、大人もそうですが、子どもにとっては、使用頻度や依存具合が問題になるかと思います。
窪田:実は、スマホの画面を見ることが子どもの近視に影響するという科学的なエビデンスはまだありません。
ただ、スマホを見続けると近見作業の連続となるという点、そして、スマホは室内で見る傾向があるので、目が太陽光を直接浴びる時間が少なくなる点。この2点が目によろしくはないと眼科医として思っています。
ボーク:適切な範囲で子どもがスマホを使用するぶんには問題がないのですね。
窪田:おっしゃる通りです。知人の眼科医は、スマホゲームが好きな子どもと「ゲームをしてもいいが、必ずベランダでする」という家庭内ルールを取り決めました。その結果、ベランダで太陽光を定期的に直接浴びた子どもたちは近視を発症しなかったそうです。
ボーク:親子ともに納得したうえでの家庭内ルール運用という意味でも、素晴らしい事例ですね。
窪田:そうですね。スマホが全ての悪者ではないと思っています。ただ、まだベビーカーに乗せているくらいの歳から、おしゃぶり代わりにスマホを見させる習慣がつくことには不安を感じています。その習慣によって屋外で過ごすことが億劫になると、目をはじめとする健康面に影響がでないか心配です。
ボーク:いわゆるスマホ育児ですね。
スマホを子に渡すなら、工夫し罪悪感ゼロで手渡す
窪田:スマホに子育てをさせたくてスマホを渡している親はほとんどいないかと。日本ではいわゆる「ワンオペ育児」になりがちなことが背景にあるかと思います。これまでたくさんの日本の母親の声を聞いてきたボークさんと、ぜひ子育てとスマホのよりよい関係を考えていきたいです。
ボーク:なぜワンオペ育児が成り立ってしまうのかというと、ひとえに日本人女性が優秀だからだと思っています。家事・育児・仕事のマルチタスクのレベルは、アメリカにいる私にとっては、もう本当に信じられないくらいのレベルです。