日本で働くミャンマー人は語学能力が高いと話す人は多いのですが、こちらの層を見てわかる通り、もともと素養の高い方が、新たに語学を学び海外就労を目指しています。
2024年3月末に出入国在留管理庁が発表した特定技能在留外国人数を見ると、ミャンマー人は1万5073人で国別では4位です。
資格別では、最多が介護分野の4730人で、次いで飲食料品製造業分野が2839人、外食分野が2219人となっています。サービス業が上位に来る理由は、このようなミャンマー国内における背景から来ているとも言えます。
兵役法が若者の国外流出に拍車
ミャンマー国内の若者の海外渡航をさらに加速させた要因の1つは、2024年2月10日に軍事政権が発表した国民兵役法(2010年制定)です。この法律により、18~35歳の男性と18~27歳の女性が徴兵の対象となり、兵役期間は2~3年、緊急事態時には最長5年まで延長可能とされています。
徴兵を拒否した場合は最長5年の懲役刑が科される可能性があり、これを避けるために、さらに多くの若者が海外渡航を選択しています。
家族全員で夜逃げ同然に、パスポートを持たないまま陸路でタイへ逃れる事例が相次いでいます。トラックにすし詰め状態で危険な渡航を強いられるなど、過酷な条件で国境を越えるケースも多く、1万5000バーツ(約6万5000円)の報酬を支払えば、隣国タイに入国させる斡旋業者が複数いると言われています。
しかし、タイに入国しても、パスポートや労働許可証を持たない不法就労者となるため、就職できず、ミャンマーへも帰国できないまま、路頭に迷っているミャンマー人が少なくないと言います。
タイ労働省雇用局は、2024年9月19日時点で、同国で不法就労していたミャンマー人を累計19万3430人摘発したと発表しました。
これは氷山の一角で、Media Intelligence Group(MIグループ)が行ったタイにおけるミャンマー労働者の行動調査によると、現在タイには約680万人のミャンマー労働者が滞在しており、その多くが未登録労働者と報告しています。2021年時点で、タイの人口6617万人ですので、10人に1人はミャンマー人ということになります。
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