日本の毛髪ケア業界大手が、東南アジアへの進出を加速している。最大手のアデランスは主に欧米・日本向けの生産拠点として同地域を活用。一方、業界2位のアートネイチャーは生産拠点に加え、有望な消費マーケットとして事業展開を強化。南国のかつら(ウイッグ)市場は日本とどう違うのか。日系企業が取るべき戦略とは――。
高温、多湿、水質... 技術力ある日系企業に「商機」
かつら・育毛・増毛など毛髪製品の製造販売を行う業界最大手のアデランスは2014年、東南アジアのラオスに現地法人を設立、自社工場を着工した。米国で2013年に買収したヘアクラブ社向けの供給や、日本国内での需要拡大を見込んだもので、伝統的な手織り工芸で培ってきた器用な労働力を安価に確保するねらいがあった。同社が主要生産拠点と位置付けてきた、タイとの物流面での利便性も高い。
一方、業界2位の「アートネイチャー」は、東南アジアを生産拠点としてだけではなく「消費マーケット」と捉え、展開を加速する。
2012年末にシンガポールに現地法人を設立後、2013年4月には中心地オーチャードにある百貨店 伊勢丹に、アジア1号店を出店。同5月にはカンボジアの首都プノンペンにかつらの生産子会社の設立を発表した。フィリピン工場に続くアジア第2の工場だ。そして2014年12月には、マレーシアの首都クアラルンプールにある伊勢丹に、アジアで2店舗目を出店した。
さらに、同社はマレーシアで「医療用ウィッグ」市場に本格参入する計画がある。首都クアラルンプールに2015年春に進出する計画だ。がん治療で有名な病院に隣接する小売施設内に出店、主に抗がん剤治療を受け、脱毛に悩む患者に対するニーズに応えるという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら