「後発品企業は多すぎるから集約せよ」の大号令。業界からは冷ややかな意見。
国際化を進め、巨額買収を仕掛けた王者・武田薬品が苦戦する一方、中外製薬は創薬力を磨き時価総額で国内トップに立つ。本特集では、明暗分かれる国内製薬企業の今を追った。
7月4日、厚生労働省内の会議室では後発医薬品企業13社の社長らが顔をそろえていた。武見敬三厚労相が企業トップへ直々に「大臣要請」を行いたいと、急きょ呼び出したのだ。
物々しい雰囲気の中、要請されたのは以下のような内容だった。
「後発品の安定供給には現在の企業数は多すぎる。過当競争にならないよう、同じ成分を製造する企業は5社程度に絞るのが理想的である」
業界の反応は冷ややか
要は、後発品業界に「統合再編をせよ」とのお達しだ。だが厚労相の要請に対する業界の反応は冷ややかなものだった。
「5社に絞るなんて、とても無理」「力業(ちからわざ)はいいことではない」
大臣要請に出席していた社長らは、会合が終わるなり口々に後ろ向きの言葉を漏らした。両者の間にはかなり距離があるようだが、なぜそんなことになっているのか。まずは現在に至るまでの後発品の歴史から振り返ってみたい。
後発品はかつて、新薬(先発品)の特許が切れるとゾロゾロと多くの企業から発売されることから「ゾロ品」と揶揄されていた。
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