1社で原材料製造「抗菌薬・脱中国依存」の高い壁 Meiji・塩野義が国産化目指すも、課題は低薬価

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岐阜工場の大型発酵槽
Meiji Seika ファルマの岐阜工場にある大型発酵槽。ここで抗菌薬の原薬を製造する(写真:Meiji Seika ファルマ)
国際化を進め、巨額買収を仕掛けた王者・武田薬品が苦戦する一方、中外製薬は創薬力を磨き時価総額で国内トップに立つ。『週刊東洋経済』10月5日号の特集は「製薬 サバイバル」。明暗分かれる国内製薬企業の今を追った。
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手術後の細菌感染の予防や、感染症治療で用いられる抗菌薬。極めて重要な医薬品だが、製造サプライチェーンは、中国に依存した実にもろい状態の上に成り立っている。

「セファゾリンの供給不足が起こった2019年から今に至るまで、抗菌薬が安心して使える状態になったことはない」。東京ベイ・浦安市川医療センターで、感染制御認定薬剤師として働く並木孝哉氏は明かす。

19年2月末、後発医薬品大手の日医工が販売する注射用抗菌薬、セファゾリンナトリウムの供給が停止。同社が輸入する原薬での問題発生が原因だ。

ほぼ全量を海外製に依存

抗菌薬の製造は、主に原材料(出発物質)製造、原薬製造、製剤化の3工程からなる。日本では、原薬までのほぼ全量を安価な海外製に依存している。日医工は原薬をイタリアの2社から輸入していたが、18年末からその1社の原薬に異物混入が急増し、生産ができなくなった。

イタリアのもう1社からの原薬が頼みとなる中、この会社が中国企業から輸入する原材料の1つ、テトラゾール酢酸(TAA)の供給が途絶えた。TAAを製造しているのは実質的に中国のたった1社だけ。その工場が中国政府の環境規制に抵触し、稼働を停止したのだ。

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