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第一三共が「ジリ貧→一流企業」に変貌した裏側 乳がん薬「エンハーツ」は4人のチームから誕生

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乳がん薬の成功で、ジリ貧企業は海外製薬大手も注目する存在に。

品川研究開発センターの外観
R&Dの中心拠点、品川研究開発センター(撮影:大澤 誠)

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国際化を進め、巨額買収を仕掛けた王者・武田薬品が苦戦する一方、中外製薬は創薬力を磨き時価総額で国内トップに立つ。本特集では、明暗分かれる国内製薬企業の今を追った。

2020年の発売からわずか数年で第一三共の主力製品となった、乳がん・肺がん治療薬の「エンハーツ」。24年3月期には、売上高1兆6000億円のうち約3割に当たる約4500億円を稼ぎ出した。欧米を中心に今後も売り上げの拡大が見込まれる。

エンハーツの成功を受け、第一三共は「がんに強い会社」として海外大手製薬企業からも注目されるようになった。がん領域で名だたる英アストラゼネカや米メルクなどと手を組み、複数の抗がん剤の開発を進めている。

がん領域での経験値はほぼなかった

エンハーツを発売するまでの姿は、今とはまったく異なっていた。売り上げを支えてきたのは、抗凝固剤や高血圧薬といった、生活習慣病に関連する薬だ。高度な技術や知識が必要ながん領域での経験値は、ほぼなかった。

展開市場も、医療財政の逼迫で薬価が下落傾向の国内が中心だった。海外の開拓は、武田薬品工業など競合に後れを取っていた。

こうした状況から、売上高は1兆円前後で停滞していた。17年には、当時3000億円近くを売り上げていた主力の高血圧薬の特許が切れて、安価な後発薬が発売されていく。危機的状況の中、当時の中山讓治社長(現常勤顧問)が16年に打ち出したのが、「がんに強い会社」への転身だった。

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