「罰ゲーム化する管理職」にZ世代は何を思うのか 脱ブラックが進む職場でブラックに働く管理職

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崎山:本心はちょっとやってみたい気持ちはあります。上司を見ていると、人の面倒を見たり、タスクを管理したり、全体を俯瞰して見る力がすごくあって、そこがかっこいいなと思います。だから、挑戦してみたいなという気持ちが半分。もう半分はやっぱり大変そうだなとも思って、そこには葛藤がありますね。

舟津:管理職へのネガティブな印象として、「大変そう」が上位にくるんですね。

崎山:そうですね。上と下の板挟みみたいな。

木下:私も管理職になるのは嫌だなと思いますけど、一番の理由は責任を負いたくないからですね。それこそ机を蹴ったら一発退場じゃないですけど、管理職の責任が大きすぎるように思っています。できれば、陰で働くのがいいです。

舟津:なるほど。でも、責任は大事なワードですね。全体的な時代の流れとしては「責任を負いたくない」っていう人は増えている気がしていて。その理由の1つはおっしゃるように、責任が大きすぎる。正確には、責任に対して対価が見合ってないんですよね。だったら、陰がいいっていうのは自然な発想に思います。

ブラック企業は消えたように見えるだけ

田川:入社前と入社後のギャップで言ったら、そこが一番大きなギャップかもしれません。世の中的にはブラック企業を排除する風潮はありますけど、実際に働いている人は余裕で定時を超えて働いていて。ブラックってなくなったわけじゃなかったんだなって。

舟津:あ、そうなんですよ。これもよくある話で、管理職は雇っている側扱いなので、労働組合に加入できない(しない)ケースもあります。「罰ゲーム化する管理職」の背景には、組合員の部下は守るけど、管理職は働かせ放題だ、という慣習があるとも思います。さまざまな意味で誤りを含む慣習だと思いますが。

田川さんのいい表現だなって思ったのは、いかにも世の中からブラック企業は消えましたよ、みたいな顔をしつつ、無茶している人はいるじゃないかと。しかも、それはまさに管理職じゃないかということに、4月から働いている人が薄々気づいてしまっている。これがまさに「Z世代化する社会」の背景だなと思いますね。

では、次回はSNSと友だちとの付き合い方について伺っていけたらと思います。

(10月3日公開の第2回に続く) 

舟津 昌平 経営学者、東京大学大学院経済学研究科講師

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ふなつ しょうへい / Shohei Funatsu

1989年奈良県生まれ。2012年京都大学法学部卒業、14年京都大学大学院経営管理教育部修了、19年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)。京都大学大学院経済学研究科特定助教、京都産業大学経営学部准教授などを経て、23年10月より現職。著書に『制度複雑性のマネジメント』(白桃書房、2023年度日本ベンチャー学会清成忠男賞書籍部門受賞)、『組織変革論』(中央経済社)などがある。

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