老後は夫婦で我慢せずに「別行動」でもいい根拠 「我慢」を続けると前頭葉機能が大幅に低下

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たまに一人で過ごす時間をつくり、その時間を徐々に増やしていくなどしてみるのです。書斎にこもって本を読む、ユーチューブで何か動画を見る、オンラインで囲碁や将棋の対局をするなど、自分なりに一人の過ごし方を見つけてみましょう。高齢になるほど、「孤独にだけはなりたくない」「認知症にだけはなりたくない」など、予期不安的な発想が強くなります。

しかし、いざ認知症になっても初期のうちは自分では気づかないことが多いですし、重くなれば、ボケていることさえ認識できなくなります。そう考えると、本人が苦しむ時間はそれほど多くないともいえます。不安に思っていたのに、実際になってみるとそうでもない、ということは案外多いものです。

たとえば孤独の予行演習として、一人で旅をしてみるとか、ウィークリーマンションを1週間借りて一人で暮らしてみるとか。不安に思っていることが、実際にどの程度のものなのかを体感しておくと、「もしそうなったとしても大したことはない」と思えるようになります。それが、自分自身の余裕を増してくれます。

孤独を恐れず好きな生き方をしよう

現在、一人暮らしの高齢者は、日本では670万人を超えています。孤独死や事件を起こす独居高齢者のニュースなどありますが、孤独を上手に生きている人も何百万人という単位で存在しているのです。誰にも看取られずに亡くなり、死後何日もたって発見される、いわゆる「孤独死」を恐れる人も多いですが、それは裏を返せば死の直前まで元気だった可能性もあります。

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というのも、今は要介護認定を受けた高齢者であれば、ほぼ例外なく何らかの福祉サービスとつながっています。自殺などのケースを除けば、孤独死は、直前まで寝たきりにもならず、元気に生きて最期を迎えている場合もあるのです。

「孤独」という言葉に過敏に反応して、「孤独死はしたくない」などと不安がるより、一人で生きることを楽しむほうがずっと有意義ではないでしょうか。

一人でいれば、家族などから干渉を受けず、自分の好きなことができます。食事にしても、家族から「健康のため」と何か制限を受けることもなく、好きなものが食べられます。家で何をして過ごしていようが、誰からも文句を言われることはありません。このあたり、意外と参考になるのが、若い世代の生き方です。若者たちの中には、結婚や恋人をつくるよりも、一日中ゲームをしたり、スマホをいじったりしている人が多くいます。つまり、気楽な孤独を楽しんでいるわけです。過度に孤独を恐れ、不安でビクビクしていると、残された時間、好きな生き方ができなくなってしまいます。

自分の考えをアウトプットすることが高齢期にはとくに重要です。その意味において、話し相手になってくれる気のおけない友人などの存在や他人との交流は不可欠です。もしそんな存在の人がいるのなら、その人達との交流を育み、一人で好きなように生きていくのもいいかもしれません。

和田 秀樹(監修) 医師
わだ ひでき / Hideki Wada

"1960年大阪市生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科、老人科、神経内科にて研修、東京大学医学部付属病院精神神経科助手、アメリカカール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、現在、国際医療福祉大学特任教授(臨床心理学)、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック(アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化したクリニック)院長、日本映画監督協会理事。
2007年12月劇映画初監督作品『受験のシンデレラ』でモナコ国際映画祭最優秀作品賞受賞、2012年8月には第2回作品『「わたし」の人生』(介護離職をあつかった人間ドラマ、秋吉久美子、橋爪功主演)公開、モナコ国際映画祭で、人道的作品監督賞など4冠を受賞する。"

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