老後は夫婦で我慢せずに「別行動」でもいい根拠 「我慢」を続けると前頭葉機能が大幅に低下
高齢になってくると、親しい家族との死別を経験します。その悲しみからからなかなか立ち直れず、うつになってしまう人も、ときにはいます。そのようなつらい死別を、どうしたら乗り越えていけるのでしょうか。
親との死別については、子も高齢なこともあり、若くして親を失うときほど大きなショックを受けないと思われがちです。しかし現実は、うつになってしまったような話がたくさんあります。親の死がとてもこたえるという人は、親子関係に対する罪悪感をもっていることが多いようです。不仲だったり、親不孝ばかりしてきたことが罪悪感となって、いざ親が亡くなると喪失感に耐えられなくなってしまうのです。
親の介護を一生懸命やる人も、これまで親に何もしてあげられなかったという引け目があって、そのようにしている部分は大きいようです。 配偶者と死別した際にも、ガクッと落ち込んで一気に老け込んでしまう人がいます。それはその人が、充実した夫婦関係を築いていたという証でもあります。それだけ濃密な人生を生きてきたということであり、その部分を、もっと誇らしく思ってもいいのではないかと思います。
親との別れもそうですが、親しい人との死別を乗り越えるには、そのつらい思いを素直に話せる友人がどれだけいるかということも大事な要素になってきます。ひとりで閉じこもっているだけでなく、時には心を許せる相手にその悲しみを打ち明けることで、心が救われ立ち直っていく力になります。高齢の方は可能であれば、家族以外の気のおけない人間関係を何人かでも保ち続けることが大切です。
一人になったときの予行演習をしておく
プロ野球の選手や監督として活躍した野村克也さんは、晩年に妻の沙知代さんに先立たれると目に見えて衰弱し、その2年後に後を追うように亡くなりました。老いてなお人気の野村監督でしたが、配偶者を失った途端に弱りきってしまったのです。それだけ夫婦仲が睦まじかったともいえるでしょう。高齢者の場合、うつ状態で食欲不振になると如実に体が衰えます。孤独に対するリスクヘッジのようなことが、もしかしたらできていなかったのかもしれないとも思います。
高齢になって、現実に一人で暮らすようになる前から、孤独の楽しみ方を少しずつ覚えておくことがいいのではと思います。