スローガンや宣言でCO2削減などを声高に叫んだだけでは、やはり自分ごととして捉えにくい。よって市民の足をEVバス化することで電動化社会を市民一人ひとりが身近に感じやすくなる。そう考えると、地方公共団体が積極的にEVバスを導入する意義と意味はわかりやすい。
一方で、既存の移動体である内燃機関車両との共存も地域によっては不可欠だ。極寒地では実質的な走行可能距離の低下がどんなBEVであっても物理的に避けられないからだ。
導入への障壁と補助金の活用
また、導入費用の捻出も地方公共団体からすれば懸念事項だろう。e-JESTの車両本体価格は税抜きで4300万円と、内燃機関の小型バスよりも高額になる。
しかし現在、e-JESTの場合は国からの補助金として1722.3万円が交付される。これは環境省の令和5年度脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金によるもので、商用車の電動化促進事業(タクシー・バス)対象車両に対する補助金だ。
加えて東京都の場合は、環境省補助金の併用として861.1万円の助成金が上乗せされる。差し引きすると概算額ながら、実質的な出費は1700万円程度に収まり、これは内燃機関の小型バスよりも安価になる計算だ(仕様により異なる)。
また現時点、伊那市、那須塩原市とも電力会社から充電のための電力を購入しているが、いずれは再生可能エネルギー由来の電力、しかも市内で生み出された電力であればひとつの究極系であるエネルギーの地産地消化が目指せる。道のりは長いが、循環型社会実現へのきっかけ作りとしてe-JESTに託された役割はとても大きい。
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