ちなみに駆動用モーターは、BMWのBEVとして2022年まで生産されていた「i3」と同タイプで、カルサン社ではBMWからライセンスを取得したうえでe-JEST用にセッティングを変更して搭載している。充電はAC(普通)/DC(チャデモ準拠)の両方式に対応しており、0%→80%までの充電時間は日本仕様のカタログによるとACで4時間(22kW)、DCでは65分(80kW)。
なお、カルサン社ではEVバスだけでなく、燃料電池バスの開発にも力を注ぐ。パワートレーンとなるFCスタックはトヨタ自動車の技術を用いることが2024年9月に公表された。
そのカルサン社と総販売代理店契約を結び、日本での販売業務を担うアルテック株式会社(東京・中央区)では、2023年2月に伊那市に対してe-JESTを提案。1年半後の2024年8月19日にe-JEST日本導入第1号車を伊那市へ納車した。
伊那市では長らくの間、市民の移動向けに市内循環バス「イーナちゃんバス」を3台体制で運行していた。車両にはディーゼルエンジンを搭載した小型バスを使用していたが、2024年にそのうちの1台が入れ替え時期となるためe-JESTが選ばれた。
EVバスに期待を寄せる伊那市
同日、伊那市の市役所においてEVバス出発式が開催された。開催にあたり伊那市長である白鳥孝さんは、「地方公共団体の循環バスとしてのEVバスは全国初の試みです。周辺地域のEV化を促進したい、これが導入のきっかけでした。市民の移動時に発生していたCO2をEVバス導入により削減できるとして大いに期待しています」と語り、続けて「伊那市では2025年に一般家庭で使用する電力のうち53%を再生可能エネルギーにしようと取り組んでいます。小水力発電、薪ストーブやぺレットストーブなどを積極的に導入することで、すでに40%台まで達しました。EVバスはこうしたCO2削減に向けた取り組みと足並みを揃えるという意味でも期待しています」と伊那市の取り組みとe-JESTの関連を説明する。
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