「アメリカだけに頼れない」韓国で広がる核武装論 日韓同時の核武装を訴える書籍が日本でも出版
この主張のように、アメリカの介入が北朝鮮が狙うICBMに遮断され、韓国を守らないのではないかと恐れる人が韓国では少なくはないということだが、鄭旭湜氏はこのようなシナリオには「致命的な欠陥がある」と指摘する。それは、米韓同盟は北朝鮮の核の脅しには強力な報復能力とそれを使う意思を必ず示す、というものだ。
米韓同盟は北朝鮮に対し十分な報復能力を保有しており、その使用を何回も北朝鮮に表明してきている。したがって、前出のシナリオの第1段階はすでに破綻しているという。
また、第2段階の内容にも反論を行っている。すなわちアメリカは約4万の核兵器を保有していたソ連を相手にしながらも、同盟国を保護する核の傘を広げてきた。当時のロシアや中国と比べても弱小国である北朝鮮の脅威に対して、同盟国である韓国の防衛を放棄することは杞憂なのだと。
さらに韓国には在韓米軍を含めて10万人超のアメリカ人が居住しており、北朝鮮がアメリカ本土に向かって核の脅威を向けてくれば、使用可能なすべての手段を動員して報復すると警告するのは確実だと鄭旭湜氏は断言する。
鄭旭湜氏は逆に、「アメリカの圧倒的な報復という脅威を前にした北朝鮮はどのような選択をするだろうかを考えてみたほうがいい」と言う。それは、アメリカが報復できないという一抹の希望にすがって自身の核兵器を使用するかどうか。
それは「10発の拳銃に9発を残して行うロシアンルーレットと同じ」ことだと一笑に付す。北朝鮮の指導者はそこまで愚かではない、ということだ。
日本以上の軍事力を持つ韓国
さらに、決定的な理由があると、鄭旭湜氏は紹介する。アメリカは世界戦略の中心に同盟を置き、その同盟は信頼に基づいている。となれば、アメリカが北朝鮮の脅威に屈服したとなれば、その信頼が根底から崩れることを意味している、と解説する。
これまでアメリカが力を傾けて推進してきたMD(ミサイル防衛システム)は、北朝鮮の脅威を口実にして推進されたものなのに、いざとなってMDを使わないまま北朝鮮に屈服することがあれば、アメリカの世界戦略、世界覇権戦略が台無しになってしまうことに気づくべきだという。
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