「りくろーおじさん」大阪名物が歩んだ40年の歴史 ホールでも965円!お手軽さと、強いこだわり

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リクロー株式会社で、企画部本部長を務める中村真士さんに尋ねると、「詳しい数値は言えませんが、どの店も5~10分間隔で1回12個を1日中焼き続けています」との答え。

りくろーおじさんの店
インバウンド客も多いなんば本店。常時20~30人が並ぶ(写真:リクロー提供)

一体何故そんなに売れているのか。最大の理由は、りくろーが創業から大切にしている、「焼きたて、作りたてを提供する」姿勢にある。百貨店内にある小規模店を含め、ほぼ全店にオーブンを置き、粉からすべて手作りしているのだ。

りくろーおじさんの店
店舗のオーブンで、香ばしいキツネ色に焼き上がったチーズケーキ(写真:リクロー提供)

このように語ると、「でも、急いでるときにもすぐ買えるし、ECでも販売しているのでは?」と思う人もいるかもしれない。その指摘は間違いではない。りくろーでは、先を急ぐ客のために「あらかじめ焼き上げたチーズケーキ」を用意している。

これは、店舗ではなく工場で焼き上げて出荷しているもので、EC販売も行っている。店舗に並ぶ際には焼き上げから2時間以上経っているが、レンジで加熱すれば焼きたてふわふわ食感が復活するため、味に大きな遜色はない。店舗によっては、「あらかじめ焼き上げたチーズケーキ」の専用レジが設けられ、時間がない客はこちらで購入できる仕組みだ。

ただし、同社としてはあくまでも「例外」であり、基本は、焼きたて、作りたての提供。カフェを併設する「彩都の森店」では、揚げたてのカレーパンや挟みたてのたまごサンド、ソフトクリームなどの販売もしている。

りくろーおじさんの店
カフェでは焼きたてすぐ、熱々のチーズケーキを味わえる(写真:リクロー提供)

また、もうひとつの売れる理由として、価格も見逃せない。前述した通り、チーズケーキ発売当初の値段はワンコイン500円だった。材料の高騰などがあり、じわじわと値上げはしているが、今もホールで965円(税込み)。

1000円を超えない理由は、創業者の西村陸郎氏(以下、陸郎氏)の「お菓子はお手頃価格であるべきや」という考えを守っているからだ。「お手頃価格なのに、食べて本当においしいことに価値があるんです」と中村さんは微笑む。

「チーズ嫌いも食べられる」チーズケーキを 

値段以外の場面でも、陸郎氏の考えは固く守られている。例えば、陸郎氏は生前口癖のように、「お菓子はやらこう(やわらかく)なかったらあかん」と言っていたそうだ。中村さんはその理由を、「せんべい問屋で丁稚奉公したとき硬かったからでは」と言うが、あながち、間違いでもないのかもしれない。

陸郎氏は16歳のときに大阪のせんべい問屋に奉公し、2年後、和洋菓子の技術を習得したいと製菓会社に再就職。23歳で独立し、1956年にりくろーの前身である和洋菓子の卸問屋を創業した。

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