思い起こせば、以下のような感じであった。
「まっとうな」討論会はもう無理、今後も「学級崩壊型」?
* 2016年=9月26日、10月9日、10月19日の3回:相手はヒラリー・クリントンでトランプ氏は70歳。政策そっちのけで悪口合戦となり、それまでの討論会のイメージを塗り替えた。タウンホール方式で行われた第2回では、会場から「お互いに相手の尊敬する点をひとつずつ挙げてくれ」という質問が出て、ヒラリーは「トランプの子どもたちは優秀だ」と言い、トランプ氏は「彼女はけっして諦めない。ファイターだ」と称えあった。このときだけは、両者握手をして別れたものである。
* 2020年=9月29日、10月22日の2回:このときのトランプ氏は現職大統領で74歳。迎えた挑戦者はジョー・バイデン氏。相手が話している最中にもトランプ氏が遠慮なく割り込むものだから、2回目からは「相手が話している間はマイクをミュートにする」という新ルールが導入された。本当は3回のはずだったが、途中でトランプ氏が新型コロナウイルスに感染したために、1回分が中止になった。
* 2024年=6月27日:相手はバイデン大統領で、78歳になったトランプ氏が挑戦者。いつもの通り遠慮なく攻め込んだら、バイデン氏の声はか細く、反応も鈍くてまことに心もとない。バイデン氏の語尾が聞き取れなかったところ、トランプ氏は「今、彼が何と言ったかわかったか?たぶん本人もわかってないぞ」と「吉本芸人」のようなツッコミを入れてみせた。かくしてバイデン氏は、出馬辞退に追い込まれたのであった。
トランプさんが出ていない「まっとうな」討論会の記憶は、2012年のバラク・オバマ大統領対ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事の戦いまで遡らねばならない。あの頃までは、討論会の際には開会とともに両候補者は握手をし、互いに礼儀を失わずに議論を戦わせたものである。司会者が制止しても話を止めないとか、相手が話している途中で割り込むといったことは、ほとんど考えられなかったものである。
次回、2028年の大統領選挙には、憲法上の規定もあるし、年齢上の問題もあるからさすがにトランプさんは出られない。そのときに討論会は昔の正統なスタイルに戻るのか、それとも今のような「学級崩壊」型が続くのか。できれば昔に戻ってもらいたいが、それは年寄りの詮ないノスタルジーのような気もするところだ。
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