さて、各方面の意見を総合すると、今回のテレビ討論会は「ハリス氏の勝ち」という意見が多いようである。確かに、事前に懸念されていたような「アドリブ力不足」なんてことはなかった。ホッと胸をなでおろしたハリス支持者は、少なくなかったかもしれない。
現在、民主党員は久々に候補者と「恋に落ちて」いる。ここで彼女が力不足のところを見せたら一大事。しかし今回、彼女は苦手なはずの外交・安全保障分野でも堂々と攻め込んでいた。この分なら、まだまだ支持者との「ハネムーン」が続きそうである。
「化けつつ」あるハリス氏、ツボを外さないトランプ氏
思うにアメリカの大統領選挙システムには、候補者を成長させるメカニズムがビルトインされている。どんどん大きな舞台に上げることで、候補者を鍛え上げるのだ。近年は高齢の「出来上がった」政治家が続いていたために、そんな効果は久しく忘れられていたけれども、ハリスさんはここへきて「化けつつ」あるのかもしれない。
他方のトランプさんは、過去6回とほぼ同様であった。さすがに年のせいもあってか、我慢が利かなくなってきている感じはあった。せっかく司会者が「移民問題」というネタを振ってくれているのに、ハリスさんが「トランプ氏の集会は飽きられている」と挑発したら、そこで逆切れして「ハイチからの移民はペットを食べている」などと暴走発言が飛び出した。すかさず司会者からファクトチェックされてしまったけれども。
とは言うものの、この10年くらいのトランプさんは「どんなことがあってもコア支持者のツボを外さない」点は、ご立派としか言いようがない。そんなことは、普通はありえない。どんな人気タレントでも、いつかは飽きられ、人気は衰えていくものだ。
しかるになぜか、トランプさんは人気をキープし続けている。かつて『アプレンティス』というお化け番組のホスト兼プロデューサーだった「視聴率男」には、支持者のハートが読めているのだろうか。たぶん今回のテレビ討論会も、支持者は満足して受け入れているのではないかという気がする。
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