いずれにせよ、今回の討論会はどちらの側にも決定的なミスはなかった。議論の最中につい、腕時計を見てしまったお父さんブッシュとか、相手方のとんちんかんな答えに対して、わざとらしくため息をついたアル・ゴア氏とか、「あれがなければ……」と後々まで言われるような「消したい瞬間」はなかった。そしてこの後、2度目の対決は行われなさそうである。
ということは、このまま11月5日の投票日まで、今のようなミクロの戦いが続くのであろう。2024年選挙は、おそらく2000年の「ブッシュ対ゴア」並みの接戦になるのではないか。強いて言えば、その前に「オクトーバー・サプライズ」の可能性がありそうだが…。
討論会では、「ハリスの楽観、トランプの悲観」という対比が浮かび上がった。両者のスローガンは共和党側が「アメリカを再び偉大な国に」(Make America Great Again.)であり、民主党側は「われわれは後戻りしない」(We are not going back.)である。まさに陰と陽。極端な話、11月5日前後のアメリカ国内の雰囲気みたいなもので最後は決まるのかもしれない。
TMTG社の株価がトランプ氏の運命を示してくれる
それでは、この読めない戦いにおいて、「どっちが勝つか」を示すバロメーターはないのだろうか。ひとつだけあるのですな、これが。
グーグル検索で「TMTG」「株価」と入力してご覧あれ。Trump Media & Technology Group Corpというハイテク企業の株価が出るはずだ。もともとトランプさんがツィッターのアカウントを凍結されたときに、「ソーシャル・トゥルース」という自前のSNSを立ち上げた。その運営会社がTMTGで、今年3月にナスダックに上場した。「インターネットをビッグテックの検閲の手から取り戻す」と同社の心意気は高い。
トランプ支持者が応援のために買ってくれるので、一時は1株80ドル近い高値をつけたこともある。民事訴訟を数多く抱えているトランプ氏にとっては、この会社の時価総額は「いざというときの米櫃」という役割もある。
しかるにTMTG社の株価は現在、20ドルを割り込んでいる。しかも悩ましいことに、最近はイーロン・マスク氏が接近してきて、X上でトランプ氏との対談を持ち掛けたりしている。それが注目を集めるのは結構なことなのだが、それではTMTG社の経営は困るのだ。
もしもトランプ氏が大統領になれないのであれば、この会社の株は紙切れとなろう。下手に世論調査やベッティングオッズを見るよりも、TMTG社の株価がトランプさんの運命を示してくれるだろう。今年の大統領選挙をウォッチする裏技としてご紹介しておく(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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