中尾ミエ「70歳を過ぎても現役」でいるための心得 健康のバロメーターは「声に張りがある」こと

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和田 もちろん。物忘れもありますし、脳も萎縮している。典型的な認知症です。けれども、詩吟をやられている方はあまり進んでいないんです。もちろん、年齢とともに衰えるわけですけれども……。そういう方は少なからずいらっしゃいますね。詩吟が特別いいのかは定かではないけれども、私はカラオケなんかを勧めたりしています。

声がダメになると、嚥下機能も悪くなる

中尾 健康のバロメーターは声ですよね。声に張りがなければ、元気がないのかなと思ってしまう。衰えが1番にわかりやすいところです。

和田 おっしゃるとおりですね。声がダメになってくると、物を飲み込む機能、嚥下が悪くなってきます。中尾さんの年代はともかくとして、もう少し上の年代、80代以降は誤嚥がとても多い。

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中尾 私でも時々むせますよ。でも発声練習を普段からやっているおかげで、今でも音域が広がっているのです。いくつになっても鍛えていれば成果は出るんだなと実感しています。

和田 素晴らしい。

中尾 音域が広がれば、楽に歌えるようになりますね。

和田 日本でもわりと年取っても歌う方が増えてきましたね。以前、ロサンゼルスのライブハウスで好きなところがあって、よく通っていたのですが、往年のスターが時々来て歌うんですよ。ビリー・デイヴィス・ジュニアとか。1960年代に活躍した歌手ですが、すごい声の張りでした。

中尾 トニー・ベネットだって、90歳を過ぎてもCDを出していました。だから、「努力すればそこまでいけるのかな」と思います。

和田 いけるんじゃないですかね。

中尾 そういう人が現にいると、可能性を感じます。まだ、「もう少し頑張れるかな」と思いますよね。

中尾 ミエ 歌手、女優

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なかお みえ / Mie Nakao

1946年、福岡県生まれ。1962年にデビュー曲「可愛いベイビー」が大ヒット。1971年リリースのシングル曲「片想い」は30万枚の売り上げを記録。歌手だけでなく、俳優としても数々のドラマ、映画、舞台に出演。2015~ 2019年に上演した『ザ・デイサービス・ショウ』では主演・企画・プロデュースを務め、2019年、2022年にはブロードウェイ・ミュージカル『ピピン』にてアクロバティックな空中ブランコの演技で話題を集めた。2024年公開の主演短編映画『せん』が「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」でジョージ・ルーカス アワード(グランプリ)を受賞するなど精力的に活動中。

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和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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