「アレルギー患者」増加の一方で専門医不足の謎 「僅か2.5%」内科医に占めるアレルギー専門医

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それでも、熱意をもってアレルギー診療にあたる医師が増えてきました。日本アレルギー学会では、出身母体がどの診療科であってもすべてのアレルギー疾患に対応が可能な医師像を目指し、専門医の育成に努めています。

アレルギーで困ったらどこに受診・相談すべきか?

患者さんから、アレルギーを発症した際に、「どこを受診すればよいのかという入り口がわかりません」、という声をお聞きします。

各都道府県に拠点・専門病院が整備されたので、いきなりそこに受診すればよいのか? いいえ。まずはかかりつけ医に相談してみてください。近所にアレルギー専門医・指導医の資格を有した医師が勤務する医療機関があればそこに受診することもよいでしょう。

国や自治体ではアレルギー疾患における地域医療連携の推進を図っています。私が勤務する昭和大学病院の所在する東京都でも専門医療機関で診断・初期対応されたアレルギー患者を地域の協力医療機関と連携して逆紹介できるような仕組みの構築に取り組んでいるところです。そのためには医師間、医療機関間の診療技能の標準化・均てん化が求められます。

既に地域の医療機関で治療しており、症状が悪化傾向にある場合や、重症化している場合には、アレルギー専門医に紹介受診してください。地域によっては、それが拠点・専門病院ということもあるかと思います。

さらに、民間療法や科学的根拠のない治療に走って、患者さんが混乱させられているケースにも懸念しています。『アレルギー』にも「無意味なIgG抗体検査」のことが書かれていますが、検索サイトで「アレルギー検査」と検索すると、何十項目ものアレルギーを自宅で調べられるという検査キットが上位にヒットします。

ところが、それらは、アレルギー、とくに即時型アレルギーとは関係の乏しい抗体を調べるものなのです。不安に思ったらまずはアレルギー専門医を探して受診・相談してみてください(日本アレルギー学会のサイトから日本アレルギー学会専門医・指導医一覧をご確認いただけます)。

不用意に行った検査で何十項目も「陽性」と引っ掛かり、結果に絶望してしまう患者さんもいることが問題です。食物アレルギーの場合、誤った検査結果を基に何も食べなくなってしまう患者さんもいます。ですから、正確な医学知識をベースにした本が普及することは、すごくいいことだと思います。

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