「アレルギー患者」増加の一方で専門医不足の謎 「僅か2.5%」内科医に占めるアレルギー専門医

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国全体の取り組みでは、平成26年にアレルギー疾患対策基本法が成立し、全国にアレルギー疾患拠点病院を作ることになりましたが、まだまだ課題があります。

日本には、真のアレルギー専門医がほぼいない

アレルギーは、じつは日本では“マイナー”な専門領域です。

鈴木慎太郎
鈴木慎太郎(すずき・しんたろう)/医師・医学博士。昭和大学医学部医学教育学講座・准教授。アレルギー指導医として昭和大学病院(東京都)で食物アレルギーやアニサキスアレルギーを中心に診療している。アレルギー専門医の教育事業にも従事している。著書『解いて学ぶ! 「おとな」の食物アレルギー:思春期~成人の食物アレルギー43のCase Study』『内科×皮膚科 解いて学ぶ! 「おとな」のアレルギー:魂のクロストーク37のCase Study』(ともに文光堂)。「昭和大学リカレントカレッジ」にて社会人向けのリカレント教育も行う(写真:著者提供)

とくに内科医のうち、アレルギー専門医の認定資格を持っている人は、2.5%しかいません(内科有資格者:90,362名〈認定内科医・総合内科専門医・機構認定内科専門医含む〉のうちアレルギー専門医数:2,287名)。

有資格者でも実際には、所属する病院や医局の方針でとか、他の資格と合わせて取得したとか、という人も少なくなく、私のように、真にアレルギーだけを診ている専門医は日本ではほとんどいないのが現状です。

その理由は明確です。『アレルギー』が出版されたアメリカは、自由診療が中心の国ですから、高品質な医療を行えば、その分の費用を医療機関が請求することができます。一方、日本は、国民が困った際に最小限の負担で医師にかかれる保険診療ですが、アレルギー疾患に対する診察や検査に係る診療報酬の点数が低いのです。

やや不適切な表現になりますが、医療経済的に満たされない診療科の1つであり、そのために、アレルギー専門医を生業にしようと目指す人が増えにくいという社会問題があるのではないかと私は考えています。食物アレルギーの診療、とくに初回の外来では問診などに時間がかかり、同病名で保険適用のある医薬品がないこともネックになります。

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