「アレルギー患者」増加の一方で専門医不足の謎 「僅か2.5%」内科医に占めるアレルギー専門医

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ところが現在は、そういった子供が、100人当たりで少なくとも数人、1学年に2~3人はいるという時代になりました。

アレルギー疾患が増えた大きな要因は十分に解明されていませんが、その1つは、花粉症、アレルギー性鼻炎の増加と私は推察しています。

アレルギーは、アレルゲンが体内に何度も入ってきて、IgE抗体ができてしまう「感作」が起きて発症しますが、この過程が、以前は、食べ物なら胃腸で、皮膚の症状なら皮膚でしか起こらないと思われていました。

ところが、研究によって、いろんな経路、いろんな発症パターンが多様に入り乱れていることがわかってきたのです。

本書『アレルギー』にも書かれていますが、鼻や肺などの気道で感作したもの、あるいは、皮膚を刺されたり咬まれたりして感作したものが、将来の食物アレルギーの原因になるというメカニズムも徐々に解明されてきています。

研究の成果により、今までアレルギーではないと思われていた症状や病型(病気が示す複数の表現パターン)が、実はアレルギーによるものだったのではないかと疑われるようになり、アレルギー疾患と診断される事例が徐々に増えてきたことで、本書にも示されているような多様なアレルギー疾患・病態が浮き彫りになってきたわけです。

また、アレルギーではありませんが、過敏症や不耐症、ヒスタミンを多く産生した食べ物によって症状が引き起こされる中毒など、アレルギーとは似て非なる疾患を診療する機会も増えていて、医療従事者には、それらを区別する技術が求められるようになっています。

増え続ける「アレルギー難民」

国全体としての大きな問題は、アレルギー疾患が増えているのに、アレルギーを専門にする医師、とくに成人食物アレルギーや難治性のアレルギー疾患を診療可能な医師が不足していることです。

科学技術の発達により検査の精度レベルは上がりましたが、その検査をどう組み合わせて診断するのかなど、多様な発症パターンを意識して診療可能な経験値が十分でない医師の数が不十分であり、正確な診断や適切な治療法を求める「アレルギー難民」と呼ばれる患者さんが増えてしまっているのです。

私もそれを解決するために、アレルギーに興味を持ってくれる医療従事者を増やしたいと考え、学会活動や初心者でも手に取りやすいテキストを出版するなどしています。

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