ラーメン店の新潮流は注文後に「麺から作る」 ファストフードならぬスローフードが流行?
ところが、そうした疑問について藤井氏は、「いえ、案外、早いんです」と一蹴する。『麺や七彩』ではうどん用の強力粉と水、かんすいを合わせて、お客の目の前で水回しを始めて、すぐに丸い麺魂にしてステンレスの軽い棒で伸ばし、うどん用の手動式包丁で切る。ゆで時間は4分程度。合計で10分もかからず、仕上がる。
力を入れず、短時間で作るのがコツ
こねるのも伸ばすのも力を入れずに、しかも短時間でサッと仕上げたほうが麺の仕上がりが良いそう。「いわば、練らない、こねない、寝かせない、という、“三ない”です」と阪田氏も笑う。「僕らも最初は不思議だったのですが、意外にも毎日200食以上、作れます」
1杯あたり10分弱とラーメンにしてはスローペースながら、話題性もあり、連日大盛況だ。ちなみに仕上がった「喜多方ラーメン」(820円、税込)は、九州の種鶏のオスを用いた丸鶏ベースに、昆布や煮干し、カツオの風味がふわりとただよい、化学調味料不使用で、弓削多しょうゆをメインに使用したしょうゆ風味が優しく伝わる。肝心の太ちぢれ麺も、弾力がありつつも、優しくぷるるんとした食感で、完成度は高い。
こうした調理手法は、「スローフード」という概念のひとつ。ハンバーガーや牛丼などのファストフードに対極する概念として、近年、話題となっている。概念自体はゆっくりと食事を取ることにより、健康とゆとりを手に入れるという意味を持つのだが、それを採り入れている飲食店の目的にはいくつかの方向性がある。
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