アメリカの株価が下落する懸念が高まってきた 今後の利下げで本当に市場は落ち着くのか
だが、逆に言えば、それはある程度想定済みということもできる。むしろ、利下げによって市場が安心感を取り戻し、消費者心理の悪化が食い止められる可能性に期待したいところだ。
今後、アメリカ経済が第4四半期(10~12月)あたりにマイナス成長に陥っても、その後経済が回復、リセッション(2四半期連続のマイナス成長)を免れることができるなら、むしろ2025年の年明け以降は金融緩和の効果も現れ始め、相場も回復に転じるのではないか。
ただ、一方でインフレが予想外に高止まり、FRBが積極的に利下げを進められない状況に陥れば、事態はかなり悪くなる。確かにここまでインフレは順調に鈍化してきたが、まだ目標としている2%に到達したわけではない。まだまだ高い水準にあるサービスの価格や住居費が本格的に下がってこなければ、さすがにインフレ圧力が再度高まる可能性は低いとしても、インフレ率が例えば3%前後で高止まりすることも十分にありうる。
今の株高は、インフレ鈍化とFRBの利下げ実行、継続を大前提として動いているだけに、これが崩れた際に株式市場がパニック的な急落を見せることもないとはいえない。株価の下落は消費者心理に直結するだけに、そうした事態に陥れば、来年前半にかけてリセッションが続くことがあっても、何ら不思議ではないと考える。
市場が安心感を取り戻すことはできるのか
とはいえ、まだ断定まではできないが、アメリカの景気の先行きがおぼろげながら見えてきたのではないか。11日に発表される8月のCPI(消費者物価指数)がまだ残っているが、前述のように8月の雇用統計など、9月に入って再び弱い景気指標が相次いで出たことで、リセッション入りに対する懸念が強まっている。
9月18日に予想されるFRBの利下げによって、市場が安心感を取り戻すことを祈っているが、今後のアメリカの株価の調整圧力がかなり強くなる懸念も出てきたのではないか。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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