プーチンと国民の離反を狙うウクライナ軍の戦略 モスクワなど大都市への攻撃可能性も

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この大都市部住民には、一般市民のほかに、プーチン政権を支える屋台骨である軍高官、オリガルヒと呼ばれる大財閥層も含まれる。かなりの数の軍高官にとって、現在進行している国防省高官に対する汚職容疑での逮捕ラッシュで、戦争どころではない状況だろう。

オリガルヒたちも西側からの経済制裁の強化で、ビジネス上も財政上も厳しくなっているとみられている。その意味で、クルスクへの侵攻を防げなかったプーチン氏への不満はじわりと広がっているのは間違いないとウクライナ側はみている。

ウクライナが行った捕虜への聞き取り調査

ではなぜゼレンスキー政権はそう判断しているのか。それは、ウクライナがクルスク越境作戦で捕虜となった軍人や治安機関、ロシア連邦保安局(FSB)の要員から、プーチン政権に関して大規模な聞き取り調査を行ったからだ。

ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長自身が直接入念な聞き取りを行った結果、クレムリンに対する不満や怒りが高まっていることを確認したといわれる。

現在のクルスク州への侵攻がロシア国民に与えた衝撃が大きかったのは間違いない。しかしウクライナは、国民の「離反効果」という面でクルスク越境作戦だけでは、満足していないとみる。キーウの軍事筋も離反戦略の決め手として「別の軍事作戦を計画しているはずだ」と指摘する。

とくに政治的離反効果という意味では、同軍事筋は今後、モスクワ周辺など大都市部に大きな攻撃を加える可能性もあると話す。ゼレンスキー氏自身が最近、ドローン型ミサイル「パリアンツィア」を開発済みで、すでに攻撃にも使用したことを明らかにした。このミサイルは射程が700キロメートルと推定されている。

これ以外にも、初の自国製弾道ミサイルを開発したことも明らかにしている。軍事筋は今後、こうしたミサイルでモスクワなど大都市部を攻撃することもありえると軍事筋は言う。仮にそんな事態になれば、ロシア世論はパニック状態に陥るだろう。

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