でも、ヒョンデとBYDのデザインで共通しているのはこのぐらいで、他はことごとく違っている。
エクステリアを見て感じるのは、ヒョンデの特にアイオニック5とコナは、「他と違う」ことをアピールしているのに対し、BYDの3車種はトレンドに沿った形であることだ。これは韓国が約5000万人、中国が14億人以上という人口の違いも関係しているだろう。
自国市場に限りがあるヒョンデが、グローバルで戦うべく、独自のアイデンティティをアピールするのに対し、BYDをはじめとする中国車は、自国市場がメインで優位な立場でもあるので、素直に時流に合わせていると解釈している。
またそれぞれの車種は、ブランドの中での立ち位置も異なる。ヒョンデの「アイオニック」はEVのサブブランドであり、残りの2車種については「ネッソよりコナのほうが、世代が新しい」と、コナの試乗会でインポーターが説明していた。
BYDは、ATTO3が本国では「元プラス」と呼ばれ、「漢」や「唐」などとダイナスティ(王朝)シリーズを形成するのに対し、ドルフィンとシールは、名前が示すようにオーシャン(海洋)シリーズに属する。これもインポーターから教えてもらったことだ。
歴史あるヒョンデ、新興のBYDという違いも
こうした背景を知ると、ヒョンデではアイオニック5とそれ以外、BYDではATTO3とそれ以外のデザインテイストが違うことにも納得できる。
たしかにアイオニック5は、この6車種の中では、群を抜いて前衛的だ。サイドには大胆な斜めのキャラクターラインが入り、ヘッドランプやリアコンビランプは「パラメトリックピクセル」と呼ばれる、細かいドットを規則正しく並べた意匠であり、モダンかつクールである。
パッケージングはオーソドックスな2ボックスなので、一見すると大きさが掴みにくいが、それだけバランスが取れていると言えるし、1975年に登場した同社初の自社開発乗用車「ポニー」のDNAを継承したというヘリテージ性にも配慮した造形は、歴史の浅いBYDにはできない技だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら