震災、原発事故で飼い主の元に帰れない犬猫たち、獣医師らが支援活動に奮闘

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


 福島第一原発から20キロメートル圏内の警戒区域内への一時立ち入りが5月に始まるとともに、住民が避難時に自宅に残してきた犬や猫を連れ帰るようになった。
 
 しかし、共同生活の場である多くの避難所では飼育ができなかったため、動物は福島県が急きょ設けたシェルターに預けざるをえなかった。そのシェルターの運営は困難を極めていた。

福島県動物救護本部とともにシェルターの運営に従事する福島県獣医師会の島崎昌三常務理事(68、下写真)は、「住民の一時帰宅が始まって以降、警戒区域内では毎日、十数頭(匹)のペースで犬や猫を保護してきた。その一方で受け入れ態勢作りは大変だった」と語る。


福島県獣医師会・島崎昌三常務理事

現在、福島県内では、県および県獣医師会によって2つのシェルターが運営されている。そのうち、4月下旬から稼働が始まった第1シェルターは民間の倉庫を急きょ借り上げて開設されたもので、倉庫内を区切ったスペースで11月20日現在、129頭もの犬が飼育されている(倉庫とは別のプレハブ施設では猫37匹を飼育)。
 
 ただ、予算や保管スペースが足りないこともあり、医薬品など支援物資は十分に確保されているとは言いがたい。

東海林さんも、原発から20キロメートル圏内で立ち入りが禁止されている警戒区域に取り残された動物のことが当初から気掛かりになっていたという。石巻の活動が一段落しつつあった中、インターネットで警戒区域での動物の保護活動を始めようとしている獣医師がいることを知った東海林さんが電子メールを送ったところ、活動への参加を歓迎する返事がすぐさま来た。東海林さんは7月16日から翌日にかけて、大熊町や富岡町で犬や猫の保護にかかわった。そして、その直後の週末から、第1シェルターに通うようになった。


福島第1シェルター

記者は11月3日、東海林さんとともに、第1シェルターを訪れた。シェルターの扉を開けた途端に、一斉に犬が鳴き声を上げた。

東海林さんの目に、福島の犬や猫はどのように映っているのか。

「警戒区域から連れてこられた犬や猫はがりがりに痩せていて、体調も悪かった。その後、シェルターでの世話によって体の具合もよくなってきた。ただ、石巻の犬や猫と比べると環境の厳しさは際立っている」

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事