「EV逆風下の最高益」中国BYDの強さを読み解く PHVを積極投入、高いコスト競争力と開発力誇る

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1つ目は自動車・部品事業の成長が鈍化していること。

2024年1〜6月の同事業の売上高は9%増だった。過去2年間の同事業の売上高平均伸び率(1.6倍)から急ブレーキがかかった。前述した通り、この間の新車販売台数が28%増であり、平均単価が大きく下がっている。果敢な値下げは諸刃の剣といえる。

2つ目は在庫回転日数の長期化だ。

部材の在庫が何日間で入れ替わっているかを示す在庫回転日数は、2023年の72日から2024年1〜6月は78日へと上昇している。ここからも中国NEV市場全体の減速がBYDに影響を与えていることがわかる。

3つ目は営業キャッシュフローが悪化していること。2024年1~6月のキャッシュフローは前年同期の819億元から141億元へと、約83%減少した。サプライチェーンの垂直統合に伴う人件費、部材費の増加が主な原因となっている。

消耗戦に耐え、ホンダ越えへ

中国の新車市場では熾烈な価格競争が繰り広げられており、すでに始まっているEVメーカーの淘汰はさらに加速する見通しだ。他方、消耗戦に耐えて持続的革新に取り組んだメーカーが真の強者になっていく。

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BYDはサプライチェーンの競争力を生かし、コストパフォーマンスでグローバル競争に攻勢を仕掛けている。アメリカ・EUが中国のEVシフトを警戒する中、BYDは今年、タイやウズベキスタンで工場を稼働させるほか、インドネシア、ハンガリーやトルコ、ブラジルでEV工場を建設している。

海外市場での販売台数は2024年1~6月に2.7倍の20.3万台となり、通年では50万台に達する見込みだ。この勢いなら、今年の販売台数でBYDが自動車世界7位のホンダを超える可能性は十分にある。

湯 進 みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授

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タン ジン / Tang Jin

みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、日本・中国自動車業界の知見を活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。中央大学兼任教員、専修大学客員研究員を歴任。『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)など著書・論文多数。(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

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