欧州危機はどこへ向かうのか--欧州大手銀行・経済調査総責任者に聞く

欧州危機は今後どのような展開がありうるのか。このほど来日したクレディ・スイスのプライベート・バンキング部門におけるグローバル経済調査総責任者、オリバー・アドラー氏に、欧州危機の現状と今後ありうべきシナリオについて尋ねた。

アドラー氏は1955年生まれ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス経済学部卒業、コロンビア大学国際関係学修士号、経済学博士号取得。1978年にUBSに入社後、米国担当エコノミストや先進国調査責任者、グローバル投資ストラテジー責任者などを歴任した。

2009年にクレディ・スイスに移籍し、現在は同社のプライベート・バンキング部門におけるグローバル経済調査とグローバル不動産調査の総責任者を務めている。

--欧州情勢は日々刻々変化しています。

こうした状況を追い掛けるのは大変厳しいが、基本的なストーリーは変わっていない。これまでは欧州の債務問題というと、すべて同じ見方がなされてきた。しかし、デフォルトリスクや通貨のリスクなど、マーケットのリスクの見方が変わってきている。この状況を転換させることが必要だが、待てば待つほど、状況を転換させるのは大変難しくなる。そのため、常に追いかけっこの状態が続いている。

解決策については、やるべきことが2、3ある。1つは各国の財政を安定化させること。これは時間をかけるべきであり、時間がかかることだ。経済が脆弱な国で、簡単に赤字を削減することはできない。

2つめは支援だ。外からの支援を考えた場合、2~3のソースがある。1つは、EU内の強い国、たとえば、ドイツやオランダが弱い国を助けるケース。2つめは、大規模なファンドをつくったり、より大胆な解決策としては、債券を保証することだ。

債券のすべて、もしくは大部分を保証するとなった場合、財政的な統合が進むことになる。政治的理由から難しいことではあるが、時間をかけて実現するだけの意味がある。

さらに、EU外に支援のソースを求める場合は、IMF(国際通貨基金)やECB(欧州中央銀行)が考えられる。ECBは徐々に支援の動きを見せているが、いまだに限定的な支援にとどまっており、決定的な解決策になっていない。ドイツがECBの支援拡大に抵抗しており、ECB内でもそういった支援拡大への抵抗がみられる。こうした複雑な情勢の中、マーケットは大変緊張し、脆弱な動きになっている。

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