欧州危機はどこへ向かうのか--欧州大手銀行・経済調査総責任者に聞く
金融政策についても、ドラギ総裁は強い行動をとるだろう。最初の理事会で政策金利を下げたのはみなにとって驚きだったと思う。こういった政策をとることで、ドラギ総裁は欧州のビジネスサイクルにとって正しい行動をとっていくのではないか。今後もECBは利下げを続けていくだろう。
--今後もっともあり得るシナリオは?
財政の統合、債券に対する保証システム、ECBによる介入、の3つが徐々に動きながら、このまま不安な状況が続いていくだろう。ギリシャは次の資金調達が決まっておらず、改革や増税に対する抵抗も強まっている。ポルトガルでは数日前にゼネストがあったばかりだ。小さな国でアクシデントが起こる可能性もある。
--当面の注目スケジュールは12月9日のEUサミットですか?
サミットにもはや奇跡を求めてはいけないと思うが、マーケットが奇跡を期待しなくなったのはとりあえず良いことだと思っている。先程述べたような方向で議論が進んでいくだろう。今回のサミットではもちろん期待できないが、これが第一歩で、最終的には財政的な統合やECBの支援につながっていくのではないか。
--これだけの危機であるというのに、欧州の政治家はなかなか一つの方向でまとまらないように見えます。
ユーロは発足当初の8年から9年間はかなりの成功をおさめたとみられてきた。しかし、こういった危機が起きると、まったく危機に対する備えができていなかったことがサプライズにつながった。今回の危機は多くの政治家にとって驚きであったと思う。
基本的に通貨統合の原理原則は、すべての国が自分のことは自分でやる、ルールを守るということだったので、救済という考え、特にECBが救済に乗り出すということが考えられていなかった。これからは、救済なし、という原則から、厳しい条件をもっての救済、という新しい原則の方向に動かないといけないと思っている。
--その新しい原則について、合意が得られるのでしょうか?
それが唯一の道だと思っている。そうでなければ、欧州の通貨統合画崩れてしまうし、国も政治も国民もそれを求めていないと思う。
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