欧州危機はどこへ向かうのか--欧州大手銀行・経済調査総責任者に聞く

状況がさらに悪化するシナリオも考えられる。たとえば、イタリアは来年の上半期中に3000億ユーロのリファイナンスをしなければいけない。現在の金利水準を考えると、他から支援を得られないとリファイナンスできない。

--ECBに欧州周縁国の国債を引き受けさせるような圧力が高まっています。

ECBは「最後の貸し手」(レンダー・オブ・ラスト・リゾート)であり、そうした国債を大部分買う能力を持っている。しかし、ECBのバランスシートをみると、イングランド銀行や米国の連邦準備、スイス中央銀行など他の中央銀行と比べて、そういった国債引き受けに積極的であるとは言えない。ECB内のみならず、ドイツでもECBがやり過ぎることに抵抗感がある。

--ECBの国債引き受けは、中長期的にはインフレを引き起こし、問題の本質的な解決につながらないのではないでしょうか。

インフレに関しては2つ言える。欧米諸国に関しては、インフレに直面しておらず、経済的にも脆弱だ。インフレリスクは低く、国債を多く購入してもインフレになることはない。

2点目は、ユーロ圏を全体としてみた場合、米国や英国、とくに日本と比べても財政赤字や公的債務残高の状況は良好だ。要するに、欧州の問題は全体の問題ではなく、部分的な問題だと言える。

--イタリアがこういう状況に追い込まれる中、イタリア出身のドラギ総裁の手腕が注目されます。

面白い立場に立たされていると思う。イタリア人でECBのトップになる、ということは、他のトップよりタフなスタンスをとることが求められる。自国を助けようとしているとはみられないようにするのではないか。

個人的には存じ上げないが、見ていると、原理原則がしっかりしている。プラグマティックな、非常に強い中央銀行家だ。彼がやろうとしていることは非常に明確で、イタリア政府にも政策を変えるよう求めているし、モンティ新首相もドラギ総裁にとって強い同盟者になるだろう。そういう意味で、前任のトリシェ総裁よりとてもプラグマティックだ。

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