欧州危機はどこへ向かうのか--欧州大手銀行・経済調査総責任者に聞く

--世界経済への波及(コンテイジョン)リスクが懸念されます。

イタリア、スペインが金融市場へのアクセスを失い、リファイナンスできずに破綻となると、金融危機はリーマンショック以上のものになるだろう。メインシナリオは、欧州の問題が徐々に調整され、危機の拡がりも限定的になる、というものだ。

金融危機に関してよく言われていることは、危機が1つの地域で起きているのに過ぎないのに、それが世界に影響を与えていくことだ。たとえば、今回中国などの新興国は大きな反応を見せていない。日本やスイスの中央銀行も流動性を供給している。米国でも対応が検討されているというニュースが流れており、こうした反応が6カ月後にはポジティブな刺激につながるのではないか。

米国の経済指標をみても、逆に改善の兆しを見せている。ドイツ経済も減速しているが、これはユーロからくるというより、中国の減速の方が影響を与えていると言えるのではないか。欧州の中のドイツでさえ、コンテイジョンリスクは限定的だ。

ドイツの輸出は分散されており、新興国向けのものが強い。また、ドイツ国内の内需はとても強く、労働市場も改善され、賃金も高くなっている。金融もユーロ危機のお陰で金利が低下し、不動産市場がすごく強くなっている。金融危機が逆説的に強い部分を生み出している。

--問題の解決には何が必要なのでしょうか?

最終的な解決には、EU全体の統合が必要になってくると思う。財政統合となると、マーストリヒト条約を変更する必要があるが、非常に難しい。条約国の1つである英国は条約変更を嫌っており、国によっては、国民投票を必要とするなど、複雑な政治的プロセスを求められる国もある。危機と戦うには、条約変更の道のりは時間がかかり過ぎる。

代替案としては、たとえば、限定的な国債発行をし、加盟国の一部がそれを保証する形をとることが考えられる。その代わりに、支援をした国が、支援を受けた国に対して、財政政策面で影響を与えることができるようにすることも考えられる。

ともかく、今のところは交渉や協議が続行中だ。当事者はみな、マーケットの圧力が大きいことを認識している。今後数週間、もしくは数カ月間、こうした方向に向かった動きが進むことになるだろうが、大変長い道のりであることは間違いない。金融市場の不安がさらに高まることも予想される。しかし、解決策が見つかるまでは、その道を歩むしかない。

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