ソニーとZMPは、ドローンでどう稼ぐのか 業務用に特化し、目標は「5年後100億円」
ZMPは荷物を自動運搬する物流支援ロボットを開発・販売しており、「(その取引先である)デベロッパーから、工事現場で資材置き場に困っていることを聞いていた」(谷口氏)。7月にソニーとの協業を発表して以降、すでに「海外含め100社以上から引き合いが来ている」(谷口氏)という。
「BtoBの販路はソニーにはなく、ZMPと組むことで販路を広げられる」と佐部CTOが語るように、ソニーにとってもメリットは大きい。次に狙いを定めているのは農業分野。空撮画像で農作物の発育状況を確認できれば、収穫の判断などに活かせる。
工事現場や農業では、「自立型UAV」と呼ばれるヘリコプター型のドローンの利用を見込む。24日の会見ではこの自立型UAVと合わせ、「VTOL」(垂直離着陸機)と呼ばれる飛行機型のドローンも紹介。VTOLは高速、長距離、長時間の飛行が可能で、法規制の問題をクリアすれば、物資運搬や宅配サービスなどへの展開も視野に入る。
消費者向けの開発は考えていない
新会社はこうしたBtoBでの事業展開にこだわり、一般消費者向け(BtoC)の発売は「今のところ考えていない」(佐部CTO)という。BtoBであれば、技術への信頼性がより重視され、高精細な画像のニーズも見込める。つまり、ソニー製であることのメリットを生かせるというわけだ。
実際、ホビー用からドローン市場を席巻した中国企業DJI製を中心に、ドローンのBtoC市場には、1台数万円という低価格機があふれる。テレビやスマートフォンなど、BtoC製品の価格下落に悩まされてきたソニーにとっては、特定顧客と継続・安定したビジネスを行う「リカーリング型」と呼ぶ事業の領域拡大が重要戦略になっており、ドローンもその一つに挙げられる。
命運を託された谷口社長は「2020年には、100億円規模のビジネスを目指す」と力を込めた。すでに建設機械大手のコマツがドローンによる工事現場の施工管理サービスを始めたほか、綜合警備保障(ALSOK)など警備会社もドローン活用を進めるなど、競合も力を入れている。ソニーとZMPがタッグを組み、眠れる市場を覚醒できるか――。法人向けの事業開始は2016年の予定だ。
(撮影:尾形文繁)
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