近年明るい話題に乏しかった学生の就職環境に変化の兆しが見えてきた。11月14日発売の『就職四季報2013年版』によると、来春2012年の新卒採用数の増減率が、11年の6.0%減から8.7%の増加に転じた。この集計は、同誌掲載の1201社中、修士・大卒の過去3年間の採用数が集計可能な1116社を対象に行ったもの。合計数は6万4116人で、前年から5157人増加した。
牽引役は理系を中心とした大学院生だ。文理別の伸び率では、理系の8.2%に対して文系は1.6%。学歴別では修士9.3%、大卒3.6%で、大卒も全体としては好調だ。ただ、大卒の文系、理系の男女で最も人数を増やしたのは母数の少ない理系女子の454人(伸び率32.8%)。文系女子はマイナス1.2%で唯一の減少となり、対照的な結果となった。
採用数を増やした会社は、トップがエイチ・アイ・エスの255人でほぼ倍増。上位には、スギ薬局などドラッグストアや、大和ハウス工業など住宅メーカーが目立つ。自動車も採用増の会社が多いが、電機メーカーは三菱電機が190人で増加数3位の一方、シャープ、パナソニックは60~80人の減少となっている。
採用増の理由はさまざまだが、たとえば薬局は薬科大学の制度変更で過去2年薬剤師の採用が少なかったことがある。超短期決戦の今年、就活生には採用増加の背景を正しくつかむ努力も必要だろう。
(データ事業局:赤峰みどり =週刊東洋経済2011年11月26日号)
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