このことは、労働市場の改善が個人消費を押し上げる波及経路が、残念ながら依然として脆弱なままであるということを意味する。
では、今後の政策対応へはどう活かせばよいだろうか。日本の労働市場はすでに人手不足状態が深刻化して、完全雇用にあるとの見方もあるが、もしそうならば、賃金が上昇して個人消費回復が鮮明になっているはずである。
労働市場の改善が、個人消費回復にストレートにつながっていないことは、深刻な人手不足と言われるほど実際には労働需給は逼迫していない可能性を示している。
4-6月の成長率がマイナスになったことをうけて、「踊り場になるとマイナス成長に陥る日本経済の体質」、つまり日本の潜在成長率がゼロ近傍に低下していることを問題視する論者もいる(実際には、本当に潜在成長率が低下しているかは不確実性が高い)。
金融財政政策の徹底こそ、日本経済回復の王道
この見方にたつと、潜在成長率を高める政策が最も重要ということになる。ただ、労働市場の需給が十分改善しておらず、それ故にインフレ目標実現が途上にある現状では、総需要を支えるために金融財政政策を徹底するのが依然重要だし、それが日本経済を回復させる王道ではないか。
また、2014年後半から個人消費の回復に弾みがつかないのは、2014年の消費増税が影響している可能性も否定できない。
1四半期のマイナス成長を過度に不安視する必要はないが、日本経済の現状を冷静にみれば、景気回復・脱デフレを阻む政策に対しては相当慎重に臨む必要があるというだ。安倍政権の支持率低下も気になるが、2014年度の消費増税で明らかなように、今、総需要回復にブレーキをかけるような政策に尚早に踏み出すことは、現状の日本経済にとって潜在的なリスクになるだろう。
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