八方塞がりの東京電力、現実味増す国有化


 機構法では資金交付の条件として、東電に経営効率策などを盛り込んだ事業計画提出を求めている。これに基づき、10月末に「緊急特別事業計画」をまず提出。4日の決算発表前に枝野幸男経済産業相が承認し、資金交付を受けられるようになった。が、緊急特別事業計画は文字どおり緊急的に資金交付を受けるための「つなぎ」計画にすぎない。次に提出する「総合特別事業計画」こそ完成版であり、リストラ具体案から中期的な収支計画や東電のあり方まで盛り込まれる予定だ。

そこで問題となっているのが、事故の収束に伴う費用である。

一つは廃炉。福島第一1~4号機は年内にも「冷温停止状態」を達成する計画。東電は関連費用として前期に6333億円、今期は1660億円の追加費用を見込む。ただし、その後30年続くともされる廃炉費用について第三者委員会は報告書で「(廃炉は)不確実な要素も多く、費用拡大リスクも高くなる」と言及する。

また、現時点で廃炉費用の対象は1~4号機のみで、5、6号機と福島第二原発は含まれていない。東電は今回の会見で初めて、「(総合特別事業計画の中で)ある程度の見通しは立てていかないといけない」(西澤社長)との見解を示した。仮に廃炉ということになれば、あと6機分の廃炉費用が必要となり、資本が一気に毀損されるのは間違いない。

さらに大きいのが除染の費用だ。実は8月に環境省が除染方針を示した際には同費用がリスクになるとの見方は少なかった。が、10月に細野豪志・原発事故担当相兼環境相の発言によって当初、5ミリシーベルトとされてきた除染対象地域が1ミリシーベルト以上に拡大。その範囲は長野県や静岡県にまで及ぶともみられる。

除染費用は最大48兆円 現行の機構支援に限界

となれば、その費用も莫大だ。すでに除染が始まっている地域では、「建築材によっては放射性物質が落ちにくいケースもある。除染は10月半ばから始まったが、想定外の例も多く、計画どおりには進んでいない」(福島市政策推進部危機管理室・放射線総合対策室の佐藤三男課長)。環境省は当面の除染費用として11年度2次補正予算予備費、3次補正、12年度概算要求併せて1兆1400億円を見込んでいる。

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