「自分で本を選べない大人」は、なぜ増えたか 書店を「楽しみとスリルの現場」にするために
先日、ある古書店を訪ねたときのこと。僕の専門ジャンル、占いに強い書店だったので、ついつい、お店の方と雑談を含めて話し込んでしまったのだが、そんな中で、ベテラン店員さんがこんなことを冗談まじりにおっしゃった。
「鏡さん、本の読み方って本を書いてもらえませんかねえ」
一瞬、意味が分からなかった。なんだそりゃ? 最近多い、日本語を母国語としない人のため手引きのことか? 話を聞いてみるとそうではなかった。れっきとした日本人向けの本なのだそうだ。どういうことかと聞いてみると、本を自分で選べない、ということらしい。
普通はどんな手順で本を選ぶ?
「本屋にきたときには、まず自分の興味のある本の棚を見るでしょう。
その中から、これかな?と思うものを手にとってみるでしょう?」
はい。当然ですが。
「で、まず目次を見るじゃないですか。そのあとで序文とか、目次の中で興味のありそうなところを立ち読みするとか」
うんうん。僕なら、奥付を見たりもするな。それが専門書なら、参考文献や注などをみて、その本がどの程度信頼できるか、チェックする。まあ、これは半分プロの読み方だけれど……。
「で、買うかどうか決めますよねえ」
そりゃそうだ。で、そこに至らせるように、本の作り手は装丁やタイトルなどに工夫をこらして、まずは手に取ってもらえるようにがんばるのだ。
「それがねえ、できない人が増えたんですよ」
え? じゃ、どうやって本を選ぶの?
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