音楽配信の隆盛でまだまだ変わる音楽産業の未来 人工知能とVR機器が切り拓く音楽体験の未来像
高級オーディオブランドも音楽配信サービスへの対応など、音楽産業の変化に追従しつつあるが、オーディオ産業全体を見渡すと”スマートフォンとストリーミング配信”への移行に伴う変化を飲み込みつつ、売り上げ規模の大きな成長をもたらしている。
オーディオ機器市場は極めて細分化されており、正確な機器販売の規模を示す数字は見つからないが、音楽ストリーミングの成長とともに大きく成長してきた2015年以降、ワイヤレスイヤホン・ヘッドホン市場の急成長とスマートスピーカーの普及で大幅に伸長したとする分析は共通している。
2000年から2010年、すなわちCD衰退期にオーディオ産業全体の売り上げがほとんど伸びなかったように、音楽産業の変化はオーディオという製品ジャンルに影響を与えている。
テクノロジーによる本格的な業態変容はこれから
これらは”現在”についての分析でしかない。
市場予測ではワイヤレス化による市場拡大はまだまだこれからで、少なくとも2030年までは上昇していくと言われている。例えば、昨今の大規模言語モデルによるAIの進化は、これまでは単なる音声操作+アルファにとどまっていた音声アシスタントに、人工知能的な要素が加わることを意味している。
自宅の中、オフィスの中、あらゆる場所にワイヤレススピーカーが置かれ、いつでも自分の音声を識別してAIがサポートしてくれる未来は、数年前ならお伽話に聞こえただろうが、現代においては現実的な目標だ。
オーディオ製品および、オーディオ製品と連動するAIサービスを通じて、音楽配信サービスを利用することが当たり前になれば、好まれる音楽も変化し、音楽産業の構造そのものにも、さらなる変化が生まれる。
アメリカ・ニールセンの調査によると、2018年における録音原盤市場で旧譜が占めた割合は63%だったが、ストリーミングで音楽を楽しむ消費者が増えた結果、2023年は旧譜比率が72.6%にまで向上している。
自分自身で選んだ音楽ではなく、プレイリストでの推薦や嗜好性分析による自動プレイなどで音楽を聴くようになり、時代を超えたリスナーとの出会いが生まれているからだ。
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