ドラフト外 這い上がった十一人の栄光 澤宮優著 ~努力で強運を引き寄せ名選手になった11人

ドラフト外 這い上がった十一人の栄光 澤宮優著 ~努力で強運を引き寄せ名選手になった11人

評者 仲倉重郎 映画監督

「ドラフト」はプロ野球選手になるための登竜門である。だが、それに外れてもプロになってドラフト選手と遜色のない活躍をした者もいる。本書で取り上げられた11人がそうだ。

その中に、大野豊や石井琢朗がいると聞くと、多くの人は驚くに違いない。ほかにも、加藤初、島田誠、基満男、長島清幸、平野謙等々、ドラフト選手以上に活躍し名選手といわれるようになった選手たちがいる。

ドラフト「外」の選手がどうやってプロ野球を代表する名選手になれたのか。彼らの強運は持って生まれたものではなく、その人間力が呼び寄せたものであると著者は言う。わずかな可能性を信じてすさまじい努力を重ねた者たちには、それぞれのドラマがあり、胸を打つ。

大野豊は、1977年に広島カープに入団。98年に引退するまでの22年間に148勝をあげたが、2年目に江夏豊に出会ったのが大きかった。江夏は自ら大野の指導を買って出た。おかげで1軍に定着する力をつけた。このときは中継ぎとしてストッパーの江夏にバトンタッチする役目だったが、やがて先発に転向した。巨人の槙原寛己との防御率争いは今も語り草になっている。

石井琢朗は、88年、横浜大洋ホエールズ(現ベイスターズ)に投手として入団した。桑田2世といわれるほどだったが、打撃の魅力に取りつかれて打者に転向した。2006年、2000本安打を達成。ドラフト外の選手では初めてである。

本書に取り上げられたほかの選手たちのドラマも、とても面白い。きっと本書に取り上げられなかった選手たち、あるいはドラフト対象者にも、それぞれのドラマがあるはずだ。一人ひとりが、自分のドラマを大切にしていくことが大事だと、あらためて思わされた。

さわみや・ゆう
ノンフィクション作家。1964年熊本県生まれ。青山学院大学文学部卒業、早稲田大学第二文学部卒業。陰で懸命に生きる人物をモチーフに、スポーツから文学、歴史まで幅広い分野で執筆。著書に『巨人軍最強の捕手』(ミズノスポーツライター賞)。

河出書房新社 1680円 193ページ

  

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