紫式部は見た!若宮誕生祝いの"公卿たちの醜態" 酔いつぶれて見るに堪えない行為をする者も…

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紫式部はさらに変わったことをしている公卿を発見します。公卿が女房に近寄り、女房の袖から見える衣の枚数を数えているのです。

そんなことをしていたのは、右大将(藤原実資)でした。紫式部は、右大将の行為を「さすがにほかの方と違う」と記していますが、これは誉めているのでしょうか?

紫式部が右大将に嫌悪感を抱いていないことは、この直後に紫式部が右大将に話しかけていることからもわかります。紫式部の性格からすれば、おかしな行動をする人に進んで話しかけないと思われますが、(お酒の場だし、少しくらいはいいだろう。どうせ、私のことなど誰もご存じないのだから)と思い、右大将に近づいて、言葉をかけたようです。

紫式部曰く、右大将は「今風のおしゃれな人よりも、こちらを圧倒する雰囲気をお持ち」だとのこと。紫式部は、ほかの人とは違う雰囲気を右大将から感じ取り、興味を抱いて話しかけたのでしょう。

紫式部は右大将の様子を、芸の披露は苦手のようで、自分の順番が近づくにつれてソワソワしていたとも記しています。結局、右大将は、無難な「千歳万代」という祝い歌を歌い、その場を切り抜けたようです。

源氏物語を執筆中の紫式部を冷やかす人物も

そうした最中で、左衛門督(藤原公任)が「この辺りに若紫(紫の上)は御出でかな」と言って、やって来ました。

紫の上というのは、紫式部が書いた小説『源氏物語』の女性登場人物です。このことから、この頃には、すでに紫式部が『源氏物語』を書き、その内容が公卿の間で話題になっていることがわかります。左衛門督は、酔った勢いで、紫式部を冷やかしにきたのでしょう。

光る君へ 大河ドラマ 藤原道長 紫式部
京都府宇治市 源氏物語宇治十帖モニュメント(写真: soulman / PIXTA)

紫式部はその言葉を聞き「光源氏に似たような人もここにはお見えではありません。私が紫の上などとはとんでもない。そんな方はいらっしゃいません」と、そのまま聞き流したようです。クールな対応ですね。

とにもかくにも、若宮の誕生50日の御祝いの席では、公卿たちの普段見られないような姿が見えたようです。

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