(第22回)系列システムの問題は変化への対応性の欠如

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同報告は、このような違いが日米自動車産業の競争力の差を生んでいるとし、アメリカのシステムを批判している。しかし、日本で大幅なコスト削減が可能なのは、「下請けを絞れるからだ」と考えることもできる。そうだとすれば、決して日本が誇れることではない。

前回述べたように、ジャストインタイム・システムにしても、納期を厳守するのは納入業者の責任である。そうしたことを下請けに求めることができるからこそ、日本の自動車メーカーの生産性が高いのだともいえる。今年の夏の輪番休止においても、かなりの負担が下請け企業にかかったはずである。

下請け企業がこうした仕組みを受け入れるのは、下請けになっていれば、注文を確保でき、注文がなくなるリスクを回避できるからだ。「自力で市場を開拓するよりも、大企業の系列に入って安定するほうがよい。過酷な条件を要求されても、生き残れるほうがよい」と考えられていることになる。その意味では、持ちつ持たれつの関係なのだ。

別の企業にすることは、労務管理上の要求もあるのだろう。東京電力福島第一原子力発電所では、何段階もの下請け関係があることが明らかになった。そして、最下層の下請けでは、放射能管理のような重大な問題でさえ、なおざりにされている。

また、自社内に多数の労働者を抱え込まないことで、労働組合の要求をかわすこともできる。これは、アメリカの場合と対照的だ。アメリカの自動車産業の労働組合は極めて強く、退職後の健康保険さえ勝ち取っていた。また、レイオフの場合も、勤務年数が長い労働者が保護されることにもなっていた。

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