(第22回)系列システムの問題は変化への対応性の欠如

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「決まって支給する現金給与額」を見ると、1000人以上が39・7万円であるのに対して、5~9人では25・3万円と、6割程度でしかない。年間賞与ではわずか18%だ。しかも、労働時間は企業規模が小さいほど長くなる。

「日本社会は平等」といわれる。確かに一つの企業の中では、能力や成果による差はあまりない。しかし、企業が別になれば大きな差がある。系列内の企業は広い意味でいえば同じ仕事をしているにもかかわらず、こうした格差があるのだ。

日本では、企業規模が賃金の差を意味することになる。「小さいけれども豊かな会社」は生まれにくい。こうなるのは小さな企業が独立して仕事をしているのではなく、系列に組み込まれているからだ。

下請けを使えるから日本メーカーの生産性は高い

1980年代の末にMIT(マサチュセッツ工科大学)の委員会が作成した報告書Made in Americaは、「アメリカでは自動車メーカーと部品供給者との関係が対等だが、日本ではそうでない」と指摘している。そして、この違いが次のような結果をもたらすとしている。

アメリカの自動車会社が、部品供給者にコストを削減させる大規模な努力を行い、なんとか供給業者を説得して0・25%のコスト削減を実現した。ところが、日本の自動車メーカーが実現したコスト削減率は、6%に及んだ。

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